第七十八話 交わり ページ28
「―――君は、どうしてここにいるの?」
「君じゃなくてアレクだってばぁ。理由がないとここにはいちゃいけないの?」
「それは私が決めることではないわ」
そう言い立ち上がる
「あれ?もうどっかに行っちゃうの?」
「私が行きたいところは私が決める。ユーグスタクトは人間に指図されたりしないわ」
静かな場所が煩くなり、のんびり過ごす事も出来なくなったので赤いローブを翻し、丘を降りていく
「また明日もここで会おうねー!!」
背後でアレックスの元気な声が聞こえてきたがセイラは無視をした。ユーグスタクトは人間とは約束をしたりはしない
魔女を傷つけ貶める人間となんか交わるつもりはない
丘を降りきるころにはアレックスのことはすっかりと忘れ去っていた
(ママ―――私の知っているママよりも冷たい・・・なんで―――怖い・・・)
見たこともない母の態度に不安と恐怖を感じる
(私の知っているママはすごく優しくて強いの・・・―――あぁ、そういえばユーグスタクトに感情はないってママが言っていたっけ・・・本当だ、アレク・・・この人間がママに感情を与えた?でもどうやって?あれはただの人間だよね―――?)
最近のお気に入りである小さな丘の上にある花畑に行くと今日は先客であろう人間の少年がいた。人間がいるのならばまた後で来よう、そう思いローブを翻し、丘を降り始める
「あれ?あっ!セイラだ!!」
「・・・?」
人間に名前を、それもユーグスタクトではなく個体名を呼ばれたことに驚き振り返る。すると少年は嬉しそうに笑うとセイラの元に駆け寄ってきた
「おはよう、セイラ!よかった、やっと来てくれたんだね!!」
「・・・」
個体名を知る人間の子供に不信感を抱き無表情で見下ろす。敵なのかと警戒し体内で魔法を構築する。
それは少年を殺すための魔法、あとは指示をすれば発動する
「セイラ??どうしたの?具合でも悪い??」
殺されるかもと微塵も考えていない少年は反応がないセイラの顔を心配そうに覗き込む
「―――お前、誰?・・・人間の子供と知り合った記憶はないのだけれども」
「え?あれ?もう忘れちゃったの?僕だよ!アレクだよ!アーレークッ!!」
「アレク・・・」
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2017年6月24日 22時