いつか黄金の世界で２ (ページ20)

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第七十話　過去の記録ページ20

ステファニーの言う通り書庫にはすぐたどり着いた。分厚い木の扉を開け中に入る。壁に所狭しと置かれた本。勉強する為の机。チョコレート色の壁と壁の色に合わせている机と椅子。とても落ち着いた空間だった。その空間を通り過ぎ、さらに奥の部屋へと進む

「こちらです」

「―――日記ね」

テーブルの上に置かれた日記にそっと触れる

「はい。この日記は私では鍵を外すこともできません。これはアリスさんだけで見たほうがいいものでしょう。私は書斎でお待ちしています」

「うん、ありがとう、ステフ」

ステファニーが出ていき一人となった。試しに日記に魔力を通してみる。それだけで鍵は簡単に開いた

「私の魔力に反応する魔術式が組み込まれているんだ・・・っ！？え！？きゃあっ！」

突然日記が光だしアストリッドの視界を奪い去った

ここはどこ？

見たことのない景色。お城の礼拝堂によく似た構造の部屋。部屋の上座には玉座のような椅子がありそこにはステファニーによく似た女性が座っている

(ステフの、ママ？？)

女性は部下であろう男の報告を、頬杖をしながら退屈そうに聞いていた

「最近よく血の魔女がエルトリアに姿を現しているみたいね。あれは何をしているの？」

(血の魔女・・・？そんな魔女なんていないはずだけど・・・)

聞きなれない魔女の名前に首をかしげる

「人間を襲っている様子はありません。ただ・・・」

「ただ？」

「最近はよくある一家に出入りをしているようでして・・・」

「その一家はどこ？人間？魔女？」

「調べたところアレックス・バルドという人間の家です。現在妻カトリーヌと一人娘のイザイラとの３人暮らしです。両家ともに家系に魔術に関与する者はいませんでした」

(ママのことだ・・・ということは血の魔女は、ユーグスタクトのこと？)

「そんな家になんでアレは出入りしているの？」

「現在調査中ですがその家は魔女を嫌う人間から幾度か攻撃を受けています。保護しましょうか？」

「いらないでしょう。どうせアレは保護魔法をかけているはずだし」

女性の口からユーグスタクトに対する憎悪がにじみ出ている

「ですが・・・」

「私がいらないといっているのだからいらないの。いいから報告の続きを・・・！？」

言葉の途中で驚いたように背後を振り返る

「御子様？」

「なんだ！？今の！！」

「どうかなさいましたか？」