第六十九話 預かっていた物 ページ19
「え?私まだ12歳だよ?ママは30年前にいなくなっていたのなら、私と一緒にいたのは誰なの?」
「それは間違いなくセイラさんです。あくまでこちらの人間界では30年前。アリスさんの住むお城とは時間が異なっているはずです。」
「んと、あぁそっか。ママがいなくなったのはアリスがまだ7歳の時だもん・・・お城の5年は人間の世界じゃ30年くらいになっちゃうんだね」
「でも確かお婆様は厄災に関してなにも覚えていないっておっしゃっていましたし、私にも記憶がございません。そうなるとお母様も知らないでしょう。」
「じゃあ手掛かりはなし、かぁ」
「それが意外と手掛かりはあるかもなんですよ」
「ほぇ?」
クスク笑うステファニーに対しぽかんとするアストリッド
「実はお母様から一つ預かっているものがあります。もしセイラの娘が、アリスさんが厄災とセイラについて聞いてきたらこれを見せてって」
「なにを?」
「私にもわかりません。私では見ることは叶いませんから。参りましょうか」
「うん」
ステファニーはアストリッドを連れ私室をでると王宮内を移動し始めた
「っぅ」
突然の激痛に耐え切れず頭を押さえ近くの柱に寄りかかるアストリッド
「アリスさん?大丈夫ですか?どうかなさったのですか?」
心配そうに柱に寄りかかり目を細めるアストリッドに近寄る
「なに、この痛み・・・魔力が、いうことをなかなか聞いてくれない」
「痛み?・・・あっ!申し訳ありません!今すぐ対魔女用の魔術式を解かせます!」
「対魔女用・・・」
「この王宮のいたるところにこうしたトラップが仕掛けられています。魔女が迂闊に近づくことが出来ないようにしているのです。申し訳ありません、気付くのが遅れてしました」
「いい。これくらい平気だから。人間風情が舐めた真似を・・・」
頭を数回小突き、魔法式を組み上げ痛みを和らげる
「魔力はお城に流しているからもういい。痛くもない。行こうステフ。こんなところになんか長いなんてしたくない」
「申し訳ありません。参りましょう。書庫はすぐそこです」
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2017年6月24日 22時