第六十七話 ローレンヌの歯車 ページ17
「あなたの願いはなぁに?」
「返事を聞きに来ました」
「っ」
聞き覚えのある声に息を飲み見上げると見たことのある顔だった
「・・・出て行って頂戴。ここはあなたのような人間が来ていい場所じゃないわ!」
珍しく怒りの籠った声で叫ぶ部屋の主である少女
「そう怒らないで下さい。私はあなたの返事を聞いたらすぐに帰ります。」
「私はあなたになんかに協力は絶対にしない!私の力を返して!そして今すぐ出て行って!!」
「あなたにはあの石とは別の本来の力がある。今まで数多くの人間の願いを叶えてきた。あなたの役目は願いを叶えた対価をその身にため込み力に変えていく。すでにその身にはユーグスタクトすらも上回る魔力を溜め込んでいる。それをほんの少しまた私に分けてくれればいいのです」
「私のこの力はローレンヌ様の為のもの!絶対にお前なんかに渡したりしないわ!」
睨んでくるアミエリタを面白そうに見下ろすルネット
「ローレンヌ、ローレンヌ。あなたもあの壊れたユーグスタクトも同じことを言う。ローレンヌが何をしているのか、何を願っているのか何も知らないのにそんなにローレンヌが大切だと?」
「お前のような下等な人間が気安くローレンヌの名前を呼ぶな。私たちはローレンヌが生み出した歯車の一部だ。歯車はローレンヌという大きな装置を動かすための部品。装置がどう動くかなんて歯車が知る必要はない。わかったのなら早く彼女に石を返して出て行け。それとも何か?この私が直々に追い出してやろうか?」
突然変わったアミエリタの瞳の色と声に驚きの顔をするがすぐに面白いものを見たように笑う
「何がおかしい」
「いえいえ。なるほど。アミエリタの本体があなたですか。理解しました。アミエリタ自身には願いを叶えるために必要な力など欠片ほどもなかった。あなたが願いを叶え、そしてアミエリタが対価を受け取る。なるほどなるほど。まぁいいでしょう。協力はしない・・・答えさえ聞くことが出来ればもうここには用はありません。それではお邪魔しました」
一礼をして歪んだ空間の中に消えていった。
(あいつが何を願っているのかもはや私たちには関係ない。彼女は私と分かれるその前からすでに狂っていた。私の問いにすら答えることもなくなっていた・・・彼女には・・・彼女にとってはこの世界はあまりにも残酷すぎる・・・・・・・・・・・)
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作者名:ストゥアート | 作成日時:2017年6月24日 22時