第七話 交渉開始 ページ8
「勝手に変な想像しないでよ、気持ち悪い」
顔もあげずもくもくと作業を続けながら悪態を吐く
「その言葉、かなり傷つくぞ？…今回の品は薔薇の窓と呼ばれるステンドグラスだ。芸術に興味がない君でも知っているだろ？」
「19世紀半ば、フランス王宮で飾られたやつね。中に描かれている薔薇を見ることが出来れば幸せになれるって当時の貴族たちの間で流行した代物…やっぱりくだらない。迷信を信じるなんて当時の貴族たちがどれだけ暇を持て余していたかが目に見えてくるよ…」
作業が終わったのか手を止め小さなため息をついた
「できた。データはいつものとこに送るね」
「あぁ。……ふむ…うん、上出来だ。よく調べてあるじゃないか」
届いたデータを自分のパソコンで眺めながらアリスを褒めたが当の本人はあまり嬉しそうではなかった。これくらいの作業は当たり前のことだから
「それにしても君の頭の中は一体どうなっているのだね？この素晴らしい情報網」
「知りたい？…なら教えてあげてもいいよ。…あーでもお金で買えるレベルじゃないかなぁー、私が持っている情報」
「そんなにかね？」
「うん。それだけ私の中にある記録は強大で奥も深いんだよ？そもそも私の情報網を手に入れたとしてもあなたは漏らさず全て管理できるの？」
「まぁ無理だろうな。君の情報網は君にしか操れん。…今回の報酬は100万でいいかい？」
「安い。淀切が今度盗むのは低く見積もっても何十億はする。なのに100万は安すぎる」
提示した金額をあっさりと拒否したアリスに淀切は呆れた。アリスの顔には“もっと高くしろ”と書いてある
「…君を出し抜こうとした私がバカだった。あんな短時間で金額まで調べるとはね。…私の負けだ。…2000万でどうだ？」
「しかたないから4000で手を打ってあげる」
倍の金額を即答で要求する
「…4000はさすがに…なぁ…せめてそこは中をとって3000万でどうだ？これなら君も納得するだろう」
さすがの金額に淀切は値下げを頼んだがアリスもあまり譲る気がないらしく、結局情報代として3500万円で両者納得の上で取り引きは終了した
「…では3500万でいいのだな？…ほら、そのカバンの中に。君の希望通りの金額を用意しておいた」
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年1月11日 22時
