第二十三話 優しい人 ページ24
「・・・多分、笑ってた」
「えぇ。笑いながらそれは素敵な夢ねって。だったらまずは私とお友達になりましょうだって。私もね、聞いてみたの。あなたにとって世界で一番素敵なことってなにって」
「愛する者と共にいること・・・いつも言っていたの」
寂しそうに俯くアストリッドの頭をアミタは優しく撫でる
「そうよ。その人はね、自分の話をしたの。自分にはまだ小さな娘がいる。いつも吹雪でお城が覆われているけどたまに吹雪が少しだけおさまる日があって、その日には必ず娘と冬芽探しをしているって。それが一番楽しいって言っていたわ」
俯いたアストリッドの赤い瞳が潤む。
透明な涙が頬を伝いローブを握りしめていた手の甲に落ちる
「世界で一番素敵なことは愛する娘の笑顔を見られることだって・・・その人は、私の友達のセイラ・ユーグスタクトは、リッドのお母さんでしょう?違う?」
そっと頷く
「私のママよ・・・いつも優しかったの・・・」
「やっぱりね、だってリッドとすごく似ていたんだもの。ユーグスタクトであったセイラの代わりにリッドが出て来たって事は・・・やっぱりセイラは破壊されちゃったのね」
「・・・ぅん・・・私が、13代目の、ユーグスタクトの魔女・・・」
震える声で答える
「セイラにお願いしていたの。今度娘に合わせてって。だけどセイラはね、それは出来ないって言った。ユーグスタクトの魔女は自分だから娘はこっちに出てこられない。だけど会えた時はきっと友達になってくれる。優しい子だからって」
アミタはそっとアストリッドを抱き締めた。
久しぶりに感じる暖かくやわらかな感覚。
自分はこれが大好きだったことを思い出す

5人がお気に入り

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ストゥアート(プロフ) - 昔少女さん» コメントありがとうございます。更新頻度は遅いですが、楽しんでいただければ幸いです。これからもよろしくお願いします。 (10月22日 14時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
昔少女 - あなたの生み出す想像の世界を私も漂っています。 (9月17日 15時) (レス) id: f6820b1fd8 (このIDを非表示/違反報告)
ストゥアート(プロフ) - エリザさん» ありがとうございます。今週は期末試験期間なのでほとんど更新ができませんがこれからもよろしくお願いします。 (2016年7月25日 20時) (レス) id: df3bdd8f8f (このIDを非表示/違反報告)
エリザ - 更新まっています(^_^)/~ (2016年7月25日 11時) (レス) id: fa956406d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ストゥアート | 作成日時:2016年7月4日 21時