第14話 ページ19
｢そう言えばA、今週の土曜日って空いてる？｣
カフェでお昼を食べ終わった直後、ジェシーは食器をテーブルの端に寄せ、私の目の前に長方形の紙切れを置いた。
｢空いてるけど、これに行きたいの？｣
目の前に置かれたチケットと思われる紙切れには『第36回芸術学部新入生歓迎ミュージカル ヴァンパイアの恋』と書かれ、主演･京本大我とタイトルに負けず大きく書かれていた。
｢ってこれ去年の秋にやってたやつだよね！ 再演するんだ！ 主演は変わらず京本様だ〜！｣
｢京本様？ なんで様付け？｣
｢ジェシー知らないの？ この大学の女子学生の大体は京本様って呼んでるよ。美貌と才能を兼ね備えた貴公子だから尊敬の意味で。でも舞台以外で見かけた人は少ないらしいけど｣
そう言うとジェシーは首を傾げて素っ頓狂な声を出す。
｢貴公子？ 大我はAとか他の人が思っているような人じゃないよ。貴公子というか……姫？｣
｢姫？ あの京本様が姫？ まさか〜｣
ジェシーと同じように素っ頓狂な声を出して返した。
ん？ てかジェシー、今京本様のこと“大我”って呼んだよね。
｢ジェシー、もしかして京本様の友達なの？ 今大我って呼んだけど｣
｢そうだよ！ 大我は友達だし相棒！ このミュージカルが終わったらご飯食べる約束してたから一緒に行こう｣
｢ええ！！ 京本様とお食事とか市民の私には勿体ないです！ 遠慮しておきます！｣
サラッと衝撃的な事実を言った直後に食事に誘うか！？
手をこれでもかと振って断るが、ジェシーは｢行こうよ｣とか｢なんでよ｣としか言わない。
普通に考えて大学の貴公子と大学のイケメンハーフと食事したら各方面から何かありそう……！
自意識過剰だとわかっていてもそれは怖い。
｢あっ、コーチと慎太郎と北斗と樹もいるよ！ これなら行く気になるでしょ！｣
｢イケメンばっかり揃えてますます行きにくいよ！ ……確かに優吾は居てくれた方が助かるけど｣
｢でしょでしょ！ じゃあ土曜日の11時に大学の最寄りの駅に集合で｣
ジェシーに流されるまま土曜日の予定が決まってしまった。
食事に行くとは言ってないと言いたかったが、ジェシーの嬉しそう顔を見てしまうと言い難いものがある。
決まってしまったものは仕方ないと割り切ることにしよう。
……とりあえずお高めの可愛い服でも買うか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 182人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジョニー(プロフ) - chikaさん» なるほど行間ですね！ 普段あまり意識しない部分でした。直せそうな話は直してみます！ アドバイスありがとうございます(^^) (2019年6月26日 21時) (
レス) id: 379a52cc0f (このIDを非表示/違反報告)
chika(プロフ) - 初コメです。もう少し行間開空けて描いていただけると読みやすいかなぁと感じました。 (2019年6月26日 18時) (レス) id: 2276e0e641 (このIDを非表示/違反報告)
ジョニー(プロフ) - みみゅさん» コメントありがとうございます……！！ まだまだ全然進んでいなくてすみません(; ;) これから書きたいことは沢山あるので頑張ります！ (2019年6月21日 1時) (レス) id: 379a52cc0f (このIDを非表示/違反報告)
みみゅ(プロフ) - はじめまして！コメント失礼致します。まだ3話ですが、とても楽しく読ませていただいています(*^ｰ^)これからの展開がどうなるのか…更新楽しみにしています！ (2019年6月20日 17時) (レス) id: f33adbde5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジョニー | 作成日時：2019年6月20日 0時
