Street Blues ４

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Aちゃんをマンションに送ったら、
俺は終電逃してまうけど。


一人で帰す事なんか出来ひん。

まだ離れたくない。


御堂筋のイルミネーションの中をくぐり抜けてくように、二人並んで歩く。


通りの無数に連なる信号が一斉に青になる瞬間。



「わあ、綺麗・・・」


Aちゃんがため息をもらした。


「ほんまやな・・・」


普段は何気ない当たり前の景色も、
Aちゃんと一緒やと、


こんなにも特別に感じる。


「寒ない？」



答えは聞かずに、

小さい手を掴んで、
俺のコートのポケットに仕舞う。


そのぬくもりの中で戸惑った細い指をつかまえて。


恋人つなぎに変えた。



Aちゃんが少しびっくりした顔で俺を見てんの、
気付いてるけど、素知らぬふりして、
そのまま歩き出す。


「クリスマスのイルミネーション、
好きな人と見るん、夢やってんなあ」


Aちゃん、
泣き出しそうな目で、
そんなこと、言うねん。


その好きな相手が俺なら・・・

もう叶ってるのに。


「可愛い夢やな」


俺が言うたら、


「バカにした？」


ちょっといじけた声で聞く。


Aちゃん、
小さいから、
覗き込むようにして。


「してへん。
俺も、ええなあって思う。
他は？
どこ行ってみたい？」


「うーん。
奈良公園の鹿、見に行きたい」


この前、テレビでやってたやつや。


「俺も」


合わせて言うたら、


「ほんまに？」


聞きながら、ちょっと笑う。


「うん。他は？」


「あとは・・・
京都に美味しい年越しのお蕎麦屋さんあるねんて。
職場の人に聞いてん。
そこでお蕎麦食べて、
お参りして、年を越したいなあ」


「へえ。
じゃあ一緒に行こか」


聞いたら、
ちょっとびっくりした顔で俺を見る。


「でも、章大、最近、
彼女出来たみたいやねん。
今日も泊まるみたいやし・・・
寂しいねん」

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