Street Blues ４

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Aちゃん、一旦言いかけたくせに。


ワンピースを壁にかけてから、
また座って、


「やめとく。
運が逃げたら嫌やし」


にこって笑って、焦らすねん。


知りたいわけちゃうけど、聞きたい。


はあ。

ややこしい俺。


「大袈裟やな。
さては初恋の人でも来るんやな？」


また勝手にヤスが、
俺の心の中を声にしてもうた。


Aちゃん、分かりやすく慌て出した。


「図星やな。
もしかして、
小中一緒やった村上くん？」


「なんで章大が知ってんの？」


焦って、真っ赤っかになってる顔が、
悔しいけど、可愛い。


「あの頃、姉ちゃん、
村上くんの話しかしいひんかったもん。
誰でも分かるわ」


もし俺が、Aちゃんに密かに恋をしてなければ、
仲のええ姉弟やなあって。

多分、微笑ましく思っただけなんやろうな。


けど、胸がざわざわする。



初恋って、初彼ってこと？

それとも、純粋な片想い？


どっちにしても、綺麗な思い出やろ？


再会なんかしたら・・・

よくある、復活のパターンや。


「姉ちゃん、来年の頭にもう２９やん。
そろそろ本腰入れて頑張りいや」


「うるさい、章大のくせに。生意気な」


Aちゃんが、
ヤスのほっぺたをつまんで、
ぐるぐる回してる。


「いひゃい、いひゃいって。
暴力反対」


ヤスが騒いでるけど。


めっちゃ羨ましい。

俺にもしてくれへんかな。


Aちゃんはヤスを溺愛してる。

姉ちゃんて、こんなに弟が可愛いもんなんかな。


兄貴しかおらん俺には分からん。


もう、可愛い弟でもええからなりたいって、
諦めがちの最近は思うねん。


ほんまは、男として見て欲しいけど・・・


それはどう考えても無理そうや。



テレビが、関西ローカルニュースを流し始めた。


今日から御堂筋中之島のライトアップが始まったって。

全長４キロメートルの光の道。


「うわあ。めっちゃ綺麗・・・」


Aちゃんがため息をついた。

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