Street Blues ４

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イルミネーション、見に行きたいんかな？


「ほんまやな。
めっちゃ綺麗な」


相槌うつだけしか、出来ひん自分がはがゆい。


ほんまは、一回でええから、
Aちゃんとこの部屋以外の場所で会いたい。

ヤス抜きで、二人きりで・・・


デートしてみたい。


御堂筋の少し裏手にあるカジュアルフレンチのレストランバー。

そこが俺の職場。


俺の作った料理、食べて欲しい。

カウンターでお酒でも飲んで、
ほろ酔いになったとこで、
中之島のイルミネーション見て・・・


めっちゃロマンティックやん。


けど、どうしても誘われへん。


Aちゃんが、
俺のこと、
男として見てくれたことなんかないんは分かってるから。


ヤスがみんなで行こうて言うてくれへんかな。


ちらって見たら、
ヤス、ソファで丸まって、うとうとしてるねん。


ニュースの映像は、奈良公園の鹿の様子に変わってる。


「はあ、鹿、可愛いなあ。
久々に見たいなあ」


Aちゃんがまたため息をつく。

あれ？

イルミネーションが特別ってわけちゃうんかな。


「ほんまやな」


言うたら、Aちゃんが、
何か思い出したように、
笑い出した。


「でも、奈良公園には悪いヤンキー鹿がおるねんで？
たあ、知ってる？」


「ヤンキー鹿って何？
そんなんおるん？」


どっちか言うたら、
ヤスとAちゃんが育った街よりも、
俺の地元の方が、
奈良にはだいぶ近いけど、
知らんなあ。


「おるんよ？
めっちゃ強いし、
なめられたら突進してきて怖いねん。
章大、子供の頃に狙いをつけられて、
ヤンキー鹿に追いかけ回されて、
糞だらけのとこに顔からダイブして大変やってん。な、章大？」

Aちゃんが思い出話しながら、
笑ってヤスを見た。


ヤスはいつの間にかぐっすり寝てる。


「あれ、寝てるやん。
章大、こんなとこで寝たら風邪ひくよ？」

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