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「可愛ええされたら、
許してまうやろ。
そういう裏技は、
ずるいやん」
「裏技?」
聞き返した私に、
「ずるい技」
言いながら、章大がキスしてくれた。
嬉しくて、にまにましちゃう。
もう一回、優しく唇が重なる。
やらかい甘い感覚と、
章大のタバコの香り。
くらくらして・・・
さっきは嬉しいだけやったのに、
胸が苦しくなる。
「んっ・・・あっ」
吐息が漏れて、
自分の息が荒くなってるのに気付いて。
いたたまれへんような恥ずかしさが、
全身駆け巡る。
そんな私を見て、
満足そうに章大が笑って。
「可愛い」
ちゅ、って短いキスした後。
頬を手のひらで包まれて、
不意に深いキスされた。
昨日、初めてこんなんされた。
前の彼氏やその前の人に無理矢理された時は、
気持ち悪くて逃げ帰って来ちゃった。
吐きそうやったもん。
まだ怖いけど・・・
章大となら、平気。
章大が嬉しい事、したい。
「ふっ、ん、あっ」
苦しくて、変な声が漏れる。
喉からやなくて。
どこから出てるんやろう。
聞かれてると思うと、
恥ずかしくて、
泣きたくなる。
「ほんま、可愛ええな」
章大が目を細めて私を見てる。
「・・・色っぽいな」
章大が呟いて。
覆いかぶさってきて。
私をゆっくり寝かせた。
ここ、ベッドの上やんか。
気付いたら、章大にうまく誘導されてる気がしてる。
前髪のあたり指に絡ませながら、撫でて。
じっと見つめられたら、
何にも考えられへんなって、
急に頭が悪くなった気がしてる。
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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2017年11月16日 21時