能天気たちの特等席 ページ12
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俺たちが二年に進級すると、そいつの想い人は最上級生になってしまった。
当然の話だが、同じ学校にいられるのはあと一年だけ。
学級委員に立候補したのはそいつがやるつもりなのだとわかったから。
なんとなく、そいつの隣を他の男に取られるのが嫌で気がついた時には俺は学級委員になっていた。
最初の委員の集まりの日、教室に足を踏み入れた俺とそいつの目が同じ相手に吸い寄せられた。
最上級生が座る場所に、その人は澄ました顔で座っていた。
「っ!」
驚いて固まるそいつの背中を押して中に入る。
失礼しますと俺がかけた声に気がついて、先輩が顔を上げた。
その目が俺たちを捉えると、「あ」と小さく呟く。
「文化祭の時の子だ。久しぶり、あの後大丈夫だった?」
「は、はい!その節はお世話になりました」
頰を染めたそいつが緊張したように頭を下げる横で、俺はなんのアピールにもならないのに「あのときはどーも」と真似して頭を下げた。
そいつは突然想い人と同じ空間で過ごすことになってテンパってるのか、俺の戯言には見向きもせずに赤くなった顔を隠すように俯いていた。
「三年一組、二宮和也です、よろしく」
にこりと爽やかに笑うその人に、あたふたするそいつの頭を小突く。
「ほら、自己紹介。二年二組の松本潤です」
「あ、えっと、同じく二組の星川Aです」
ひょこりと頭を下げるそいつを見て、先輩がまた微笑んだ。
「んふふ、可愛いね」
隣にいるそいつの真っ赤になる横顔を、俺はぼんやりと見つめていた。
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作者名:iCHiKA | 作成日時:2019年11月6日 22時