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葉月からなるべくなら二人で会いたいと言われ、なるべくなら人目の多くない平日が良いと言われじゃあと今日有給を申請した。
上司は私がずっと残業していたのでゆっくり休めと言ってくれた。
ちなみに一昨日も昨日も残業した。
葉月に来てと言われるのは隠れ家的なバーだった。
Prostと木製の看板に書いてあった。
ドアを開けると人の良さそうなアフロ頭の男の人がグラスを磨いていた。
私の顔を見て首を傾けた。
「もしかして葉月ちゃんの今日の連れの子？」
「はい、そうです」
「いらっしゃいませ。葉月ちゃん先に来てるよ」
「ありがとうございます」
マスター？の案内に従って間仕切りとなっているスペースの一つを覗くと。
「久しぶりA」
「久しぶり」
葉月の向かいに腰かける。
「今年もよろしくね」
「よろしく」
葉月は相変わらず綺麗だなと思った。
残業続きでくたびれた私とは大違い。
「何飲む？一通りあるよ。おつまみも美味しいよ」
「飲み物はハイボール。食べ物は任せる」
「分かった」
葉月はマスターを呼んで注文をする。
葉月はビールを頼んだ。
「ここ行きつけなの？」
「うん。マスターが松本潤くんのいとこさんで彼と二宮くんの三人でよくここで飲んでる」
「よくバレてないね」
「バレてないね。まあこのお店で写真撮らないからかな。ほら最近は背景で場所がバレたり瞳の中に映ってるものを見て特定するって人もいるみたいだしおちおち写真も撮れないし載せられないよね。私は載せる場所も作ってないけど」
葉月はブログもツイッターもインスタグラムもやっていない。
ホームページにたまにメッセージなんかを載せてるぐらい。
やれば凄いことになるのは目に見えているのに載せるものがないと一切やらない。
それがまた彼女の神秘性を生み出していると思う。
飲み物がやって来た。
乾杯する。
「それで今日は何の用事？カコと里菜がいちゃ都合の悪いこと？」
「分かってるくせに」
「…………」
グラスを掴みかけた手が彷徨う。
「津島社長から言われてね。芸能界に戻ってほしいと言ってくれって」
実は就職した頃から葉月の事務所の社長である津島薫子さんから誘われている。
芸能界に復帰する気はあるかと。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年2月17日 8時
