セカンドライト【J.M】 (ページ6)

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「私たちって恵まれてるね」

里菜がこう言った。

「今日のこと？」

「それもそうだけど葉月とニノくんが友達で」

「そうだよね。二宮くんはライブに招待してくれるし葉月も試写会のチケットとかくれるもんね」

芸能界から退いて8年。
まさか一般人としてあちらの世界に関わるなんて思いもしなかった。

「今更かもしれないけどAは良いの？」

カコが真っ直ぐこちらに尋ねる。

「何が？」

「下手に関わると面倒じゃない？」

「ううん。芸能界を辞めて久しいし今の私を見て一世風靡した石橋Aとは思わないよ」

もう世間の風は違う方に吹いている。
だから私は一般人の石橋Aだ。
葉月と二宮くんが友人なのは奇跡的だと思ってる。

会場に着く。
すでに開場していてファンの人たちが席に着いていた。

「女の子が多いね」

「ねっ。ニノくんアイドルみたい」

「実際そう思ってる子もいると思う。何だっけ所謂ガチ恋？リア恋？って感じで」

「敵に回したら厄介そう」

でもそういった形でもファンがいるのは有り難いことだろう。
彼にはそれだけの魅力があるってことだ。

適当に話しながらコンサートを待つ。

二宮くんのコンサートは実に良かった。
曲によって演出や二宮くんの雰囲気や声色が変わるから飽きなかった。

気分が昂ったまま会場を出て3人で飲みながら話した。

残業で凝り固まった心が溶けていくような休日だった。

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