１８ Side M ページ18
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20分ぐらいして莉々亜がやって来た。
近寄られるとツンと酒臭い。
「飲みすぎじゃない？何の集まりだったの？」
「専属やらせてもらってる雑誌の飲み会。編集長がすごい飲ませてきてさー。シャワー借りるね」
「どうぞ」
本当にそれだけかなと思いつつ自分のスマホを起動させる。
そして開くアプリはインスタグラム。
俺はSNSの類を事務所の方針でやっていないので非公開の誰もフォローしておらずバックもしないアカウントを持っている。
それで莉々亜のアカウントを見る。
今日写真は更新されていないので安心した。
怖いのはネットの匂わせ行為。
ファンってサイバー警察以上のサーチ力と洞察力があるから軽んじてはいけない。
莉々亜はああいうふうに派手に遊んでは俺の家に来る。
正直いつすっぱ抜かれるかハラハラする。
俺の場合ノーダメージとは言えないから。
少なくとも俺のファンは悲しんだり怒ったりする。
だからせめて隠せるだけ隠さなければ。
「潤くんお風呂ありがとう」
「いーえ」
最近別れようかなとふと思うことがある。
少し考え方を変えるような事があって。
「潤くん明日は？」
「明日も仕事」
「せっかく私明日休みなのに」
「だから飲んでたんだね」
この間ニノのコンサートの後葉月と櫻井先生のカップルとご飯を食べた。
あの二人の夫婦感は何なんだろう。
ただあの二人のようになりたいと漠然と思った。
「潤くん」
「ん？」
莉々亜がベッタリと俺に抱きつく。
そういう気分じゃないのに本能が先に回ってくる。
キスをしてやった。
あの二人は乗り越えてきたものが違うのだろう。
お互いを高め合って尊敬し合っていると感じた。
だから最近葉月の女っぷりが上がっているのか。
葉月とはそうなれると思ってたのにな。
吹っ切ったつもりを続けてもう何年になるのだろう。
ずっと友達だったから友達でいられるけど恋してないとは言ってない。
ほぼ身体だけの関係が空しいのは分かってる。
だけど俺は強くないから来る者を拒めない。
運命、なんて言葉、普段は片付けちゃうけど俺にもいるんだろうか。
運命の相手。
少なくとも今下にいるこの子はそれじゃない。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2021年2月17日 8時
