１２６ Side You ページ42
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その頃私は空港にいた。アカシが旅立つのに先んじてフランスへ向かうためだ。
夜が明けた空を見る。天候は晴れ。フライト日和だ。
スポーツ新聞を広げ競馬面を見る。今週の重賞の出走馬の記事を読んでいく。しばらくフランスから日本の重賞のことを書くのかと思うと大変かもしれないが、今の世はネットで国境はないので大丈夫であろう。何かをするためには何かを犠牲にしなければいけないことはままある。
不安もあるが楽しみの方が当然大きい。あのアカシの仏遠征にライターとして同行させてもらえるのだから本当に本当に有難い。
約12時間以上のフライトを経てパリに辿り着いた。付け焼き刃な英語力を駆使してゲートを出ると二宮先輩の姿が見えた。手を上げると気付いて上げてくれる。
「二宮先輩」
「A」
福島以来の先輩。キャリーケースを持ってくれる。優しい。
「ありがとうございます」
「いいんだよ。今日暇だったし。それにお前を異国で一人にさせるわけにはいかないだろ」
やっぱり優しい。行くぞと手を引かれ車まで連れてかれる。左ハンドルの先輩だ。
しばらく車で乗って着いたのは7階建てのアパートメント。4階の一室に入っていく。ここがクレールさんに借りたというアパート。二人で暮らすのに十分な広さだった。
「広いですね」
「ああ。これで家具も付いてこれでいいの？って値段だからさ。クレールに感謝だよね」
これから1ヶ月ちょっと二宮先輩とここで暮らす。
「A」
「はい」
「お前のことだから何でもしちゃうんだろうけど無理しないこと。仕事があるなら仕事を優先していい。俺も一人暮らしは長いしある程度は出来るし帰って何も出来てなくても怒らない。毎日外食だっていいよ。良い店いくつか見つけたし」
先輩は分かってるんだろうな、私が気負ってしまうことを。優しさが胸に染みる。
「先輩も競馬優先でお願いしますね。体が資本なんですから。協力して暮らしていきましょう」
「ああ」
すると二宮先輩の腕の中に入れられる。そして首筋にキスされる。
「先輩体が資本なんですから……」
「そんなこと言ったらアスリート何にも出来ねえじゃん。明日は調教もあるしレースもあるけど今なら平気」
そう説かれたら私は断ることができない。和也さんのキスは�翔農���△襪�蕁�
私のフランス滞在記はスイートな記述から始まる。
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作者名：ユタカ | 作成日時：2020年4月22日 9時
