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「俺とAはさ、よく人の気持ち汲み取ってたじゃん？でもさ……お前自分に対して向けられる思いには鈍いんだよ。だからああいう風になんの。お前は可愛いんだから自覚持て！」
「へっ！？」
驚いたと同時に跳ねる心臓。
「……何よ」
和也はムッとした顔をする。
「私って……可愛いの？」
そんなこと言われたことないから……。
「はあ？」
和也がガッと近付く。
距離は数センチ。
「可愛いだろ、Aは。夏音と彩華と比べんなよ」
そう言われた瞬間、目の前の和也がぼやける。
そして次の瞬間、なぜか互いの唇が重なり合っていた。
雲一つない夜空の下。
私に文才があったらなんて美麗な表現をするんだろう……ところでこれはどういう状況？
唇の感触がなくなり、和也の顔がはっきり見える。
意識したことなかったけど整った顔してるよね。
「はあ？」
でも向こうの第一声がこれ。
「いや私がはあ！？だわ」
「…………」
「…………」
なんで黙るの。
そんな色っぽい瞳で私を見ないでよ。
なんで和也相手にドキドキしなくちゃいけないの。
「俺さ……」
囁くような声。
そして何か言葉を飲み込む。
また和也の顔が近付く。
私は反射的に目を閉じる。
―――女が寄ってくんだよ。俺がうんざりだと思っても。だから相手してやってんの。
すると脳裏に浮かぶ和也の言葉。
じゃあこのキスも意味がない？
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作者名：ユタカ | 作成日時：2017年9月13日 11時
