Gypsophila２【K.N】 (ページ15)

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櫻井先生を見てると、本当に夏音のことが大好きなんだなと思う。
大きな愛に夏音は包まれている。

夏音は可愛いし、文芸の才能があって、愛してくれる人がいる。

夏音は恵まれるべき人だと思う。
思うのだけれど……。

そこに付き纏うのは劣等感。

夏音を皆で支えてるときは、まだそれは小さかった。
でも櫻井先生と付き合うようになり、輝きを増す彼女に比例するように増していくコンプレックス。

私は夏音、彩華みたいに可愛くないし、薔薇だって似合わない。
いつまでも卑しく初恋を引きずって、恋愛らしい恋愛なんてしてこなかった。

絵の才能があるじゃないかって？

それはありがたいと思ってる。
それを与えてくれた神様と磨かせてくれた両親には感謝してる。

でも人間は欲深き生き物だ。
現状持っているモノでは飽き足らずもっともっとと思ってしまう。
私もご多分に漏れない。

誰かのモノが自分にもあったら―――。

欲したって掴めりゃしないのに、手だけは伸ばすんだ。

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