基準がわからない【異邦ヌール】 ページ5
「キミはもう外には出ないでくれませんか」
出かけようと服を選んでいる最中にいきなり言われた。それは青天の霹靂だった。背後にいるヌールには持ち主を得る以外の目的がないはずで、持ち主にもこだわりがないように思えたから。
「ど、どうして？私じゃ持ち主に不足だった？」
「キミが外に出る方が理解できないんですよ。全部ボクがやった方が早い」
機嫌が悪そうに嫌そうな顔でため息をつかれる。この話は終わりというように離れていく。
「待って！ヌールに野心がないとは思っているけど！ローザッテさんとの約束もあるんだから！」
「ローザッテ？ボク以外は必要ないでしょう。キミのやることは何もかも気分が悪くなりますね」
「ヌールを自由にしちゃいけないの！」
「ボクを自由に？立場を間違えてはいませんか？」
怒ったようにトパーズが輝く。魔力に圧倒されて怖気づく。何もされていないのに内臓が痛い。
「やっぱりキミのやり方は間違っているんです。その行動でボクの体調を阻害しないでください」
待って。話を聞いて。そう言おうとしても、声が出なくなっている。腕と足も痛くて動かない。
「キミのこともボクがやった方が早いでしょう。キミの言葉を聞くのはムダですが、キミが求めることぐらいはわかりますよ。必要であれば叶えてあげます」
今度こそ以上です、と言い捨てて部屋を出るヌールに、私はなす術を持たなかった。痛む足を無理に動かしてベッドに倒れ、あの日の妖しい輝きに湧いた所有欲を後悔する。ひとまず彼をどう手放そうかと思考するのだった。
多くが欠けているのに多くを求めてしまう【異邦フルシュ】→←自分を不幸にしても逃げられない【ローザッテ】2
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みんとあいす - ｱｯローザッテのお話好きです← (2023年4月11日 22時) (
レス) id: 1d357ed928 (このIDを非表示/違反報告)
姫百合(プロフ) - 茉白さん» ありがとうございます！思いつく頻度にムラがあるので期待せず気長に待っていただければと思います (2023年2月8日 8時) (レス) id: 4d3a486902 (このIDを非表示/違反報告)
茉白(プロフ) - あの、めっちゃ好きです！特にサリヴァン君のお話が好きすぎて好きすぎて・・・更新、無理をしない程度に頑張ってください！ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 9190acf184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫百合 | 作成日時：2023年2月2日 15時
