自分を不幸にしても逃げられない【ローザッテ】1 ページ3
ローザッテとあの五人から逃げるために、私は別の世界に行く。
方法はわかった。実行後の注意はあちらの私に速やかに成り替わること。要は同じ世界に同一人物が複数いてはいけない、ということだろう。元の私は別の世界に飛ばした。可哀想だが我が身が可愛い。
この世界の私は生活拠点が森の中にあり交友関係がほぼ無かったようで、成り代わった後小屋ごと魔法で姿を消している。向こうが私らしき人を知っていて私も知人らしき人を知っていても、もう交友関係は懲り懲りなので助かった。
同じような穏やかな日々。今夜は目の色を変える魔法薬の研究準備のために鍋に薬草を入れて火にかける。気楽に研究や怠惰をする生活はもう何年か経っているとも思えるが、思い返せばまだ数ヶ月も経っていない気がする。殺風景な程に整頓されて食事以外に生活感のない家はすでに見る影もない。街で見かけたこちらのアルベルト達も性格が違っているようで、つまり蒐集癖のある私と潔癖な彼女の差もそういったことの一部分なのだろう。
薬草を似ている鍋から湯気が出てきた。火を止めて、軽い眠気に従い布団に入って起きた頃に湯が覚めているのを待つ。悠長な気もするが、私がどこにいるかは分からないだろうし分かってもここまで来ることはできないだろう。必要無ければそれが一番だが念には念を、というだけで時間はたっぷりある。強い眠気に逆らわず光を消して目を閉じた。
「目は覚めましたか？」
浮上した意識を誰かの声が引っ張り上げる。目を開けると、会いたくなかった姿。ローザッテ。けれど彼は同一人物ではあれ別人だ、恐れることはない。元の私はこのローザッテと交流があったのかもしれない。家を隠していたとはいえローザッテであるなら見つけてもおかしくはないだろう。
「ローザッテさん」
「ええ。長い間会えなかったので、本当に寂しかったのですよ」
諭すような、溌剌さを色気で包んだような声色。私が知るローザッテと違いがわからないくらい似ていて、居心地が悪く思う。彼とあの五人の行動が怖くなってここまで逃げてしまったけれど、以前は安心できる交友関係で好きだったから、割り切れない。
「すみません……。でも、……どうしてここが？」
「そうですねえ、どこからお話ししましょうか……。まず、あなたが突然姿を消しました。あなたがいた痕跡さえも。あの子達もあなたを探していましたね。あの荒れようですから誰も関わっていなかったと見て、私は図書館に行きました」
自分を不幸にしても逃げられない【ローザッテ】2→←快眠ハーブで二人きり【サリヴァン】
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みんとあいす - ｱｯローザッテのお話好きです← (2023年4月11日 22時) (
レス) id: 1d357ed928 (このIDを非表示/違反報告)
姫百合(プロフ) - 茉白さん» ありがとうございます！思いつく頻度にムラがあるので期待せず気長に待っていただければと思います (2023年2月8日 8時) (レス) id: 4d3a486902 (このIDを非表示/違反報告)
茉白(プロフ) - あの、めっちゃ好きです！特にサリヴァン君のお話が好きすぎて好きすぎて・・・更新、無理をしない程度に頑張ってください！ (2023年2月5日 10時) (レス) id: 9190acf184 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫百合 | 作成日時：2023年2月2日 15時
