Evidence-4 ページ20
16話〜現実〜
〜旧山道 午後4:11〜
『あれ？紅田じゃないか』
「あ、先生」
探索開始早々に社会の先生に遭遇した。
どうやら真剣に捜索しているらしい...当然か。
生徒が失踪したのに放っておくわけないよな。
『何してるんだ？こんな所で』
「目的は同じです。
俺も望を探しに来ました」
ここは正直に言うのが得策。
『へー、桜田と仲良かったのか。
だけどここは危ないし、俺らに任して帰りな。
この先何があるか分かんないしな』
...でもなかった。どうしようか。
まさかそうなるとは思ってなかった。
しかし、歯痒い。
歯痒すぎる。
少なくともこの場では、俺が一番この場所のことを知っているはずなのに。
それでも手は届かないってのか...！
いや、それなら自分から突っ込めば良い！！
「...先生、すみません！」
『あっ、おい！』
掴まれた手を振りほどいて旧山道の奥に走る。
こんなところで止まっている場合ではない。やる事は決まっているのだ。
蕗は山道中に居た教師達を振り切って走り続けた。
何もないはずがない。
あの時に見た光景が夢だったなんて、誰にも言わせたりはしない...！
ただそれだけを信じて走り続けた。
〜小屋跡 午後5時〜
「...」
これを、どう言い表せばいいのだろう。
信じられないし、信じたくもない。
何もなかった。
2日前に来た時と、何も変わらない。
散らばっていた木片は減っていたが、それは先生が一箇所にまとめているのも見た。
家具もほとんどなかったが、それは先生が集めていたわけではないらしい。
おおよそ誰かが持ち去ったのだろう。
道の端っこに机の破片程度しか落ちていなかったし。
...何だったんだ。この数十分間。
底知れない脱力感と今更になって出てきた疲労が蕗を襲う。
口の中で血の味が広がるのが分かった。
「...帰ろう」
これが結論だった。
『分からない。』
この言葉でだけは片付けたくなかった。
何もないはずはないが、それを掴むまともな手掛かりすら残っていない。
真剣に考え続けた分だけがっかりする度合いも大きい。
俺はこの呪いから足を洗うことにした。
足取りが一気に重くなったのを感じる。
先生も声をかけて来たが、やはりどの先生の口からも"見つかった"という言葉は出なかった。
あいつはもう死んでいるだろう。
3日も経過したのに生きているはずがない。
溺死寸前で3日も...
ん？ちょっと待て。
俺が見たあの新聞には確か...？
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淀月九葉＠修業中(プロフ) - まさかの急展開… (2016年5月10日 12時) (
レス) id: c123e1c9e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じかみそ | 作者ホームページ：
作成日時：2016年1月31日 17時
