山裾追憶録～Lost Memories～ (ページ18)

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Evidence-2 ページ18

14話～残骸～

「しかし...これは予想以上だな」

今目の前に広がっている光景はあまりにも無残なものだった。
昨日森だった場所が完全に無くなっている。
辺りに残っているのは折れた木の枝くらいだ。

時間は昨日と同じくらいのはずだが、
遮るものがないせいでかなり先まで見通すことができる。
というか周り全体が道なのだ。見通すも何もない。

あまりにも奇妙だ。
今進んでいる道が昨日も踏みしめた地面だとは到底思えない。
終わりの見えない暗い森を進んだ昨日とは、別の不安が押し寄せてくる。

それに、時々横に見る景色もおかしい。
進めば進むほど木がたっている位置が遠ざかっていくような気がする。

どうなってるんだ？
言葉にできない中途半端な疑問が頭の中を巡る。
消化不良すぎて気持ち悪い。
吐き捨てられないからもっと気持ち悪い。

蕗は混乱し始めていた。

～数分後～

「...」

歩き続けて10分は経っただろうか。
周りの景色は一向に変わる気配がない。
昨日とは違う意味で同じ景色が続いているのだ。

地面を踏む音だけがひたすら大きく聞こえる。
やっていることは昨日とさほど変わらないのに、
決定的に違う状況になっていることにひたすら違和感を感じる。

１つだけ昨日と同じものがするなら...

「...近付いてきたな」

辺りに散らばった"小屋の残骸"や"家具"だろう。
欠けた机などの家具の欠片や割れた木板が時々目に入るようになってきた。

良くも悪くも目的には近付いている。
正直なところさっさと解決してこの心底不愉快な状況から抜け出したい。

と考えてた矢先だった。

「...あちゃー」

どうやら小屋"だった"場所には着いたようだ。
一応目的地にしていた場所。

...残っていたのは小屋の下の部分だけ。
他の部分は完全に無くなっている。
残った物で何か分かれば、と思ったがどうやらそこまで都合通りにはいかなかったらしい。

蕗は途方に暮れた。
遠くで鳴くカラスの声も耳に入らない。
ただひたすら奇妙な静寂が辺りを包み込んだ。

...それで終われば、いくらか楽だったかもしれない。