車中 ページ29
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「あんさぁ」『はい、なんでしょう』
疲れ、慣れ、いろいろあって足を投げ出す。リムジンだからどうだってことはない、ということすら思いやしない。生粋の金持ちのガキだ、とAは肩を竦めた。
「師さぁ、その術式不便じゃない？」
『なにを、今頃』
「いや、憶測なんだけど。触ったら消えんだろ？それ、反転術式使えない、他人に触ったらそいつ術式使えない、とか面倒なことも多いなって、思った」
『今日、君の腕を引っ張った時ですか？』
「そ。ちょ〜っと術式使ってみようかなって思った時、なにも起こんなくてさ」
ぐるぐる回る思考の一端を切り出してみる。
『ああ、確か素手でしたね』
「なに、素手じゃないとダメなの」
『ええ』
頷いて、続ける。
『なにが不便って_______いや、秘密にしておいた方が面白いんで、そうしましょうか』
「は？ここまできて黙秘とか」
『秘密は多い方が、ってね』
そう、適当にはぐらかして窓の外を見た。もう3時を回っている。明日は休日、悟もゆっくり遅くまで寝ていても怒られないだろう。
一度初任務で心を折ってやろうと、というのも世界の恐ろしさを刻むにちょうど良いなと思って連れてきた。ものの、存外うまくできた。さすが呪術界希望の星、すでに麒麟児と騒がれてはいるものの、もっと有用に育てば世界がひっくり返るかもしれない。というか、もう随分傾いているのかもしれないが。
『あ！甘いもの』
「まだ言ってたのかよ、それ…」
『ええ、はい。そうですよ！仕事終わったし、ですね。……あの』
ちらりと、車を運転する補佐官のほうを見やる。当の彼女は、とても困っていますと言わんばかりの顔で言った。
「えっと……少し、この時間帯は厳しいものがあるかと」
「だってよ」
『……わかりました。今回は引き下がりましょうか』
しょうがねぇなと、足を組む。大概、癖が悪いのはAも同じであるようだった。
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月山(プロフ) - むさん» ありがとうございます。私もそこはとても気に入っていたので、そう言っていただけて嬉しい限りです。 (2021年2月3日 23時) (
レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
む(プロフ) - 5ページの最後が天才すぎます。。。もう滅茶苦茶好きです。応援してます…！ (2021年2月3日 15時) (レス) id: 0d837f5408 (このIDを非表示/違反報告)
月山(プロフ) - 腐ぉーちゅんさん» ありがとうございます。更新が遅くなってしまい申し訳無いです。楽しんでいただければ幸いです。 (2021年1月30日 23時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
腐ぉーちゅん - 初めまして。次が楽しみで仕方ないです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o)))更新お待ちしておりますm(_ _)m (2021年1月26日 20時) (レス) id: 6ffd1602df (このIDを非表示/違反報告)
莎(プロフ) - Noahさん» 勿体ないお言葉をありがとうございます。ご期待の添えるよう頑張りたいです。 (2021年1月12日 19時) (レス) id: 5e5e087cf0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月山 | 作成日時：2021年1月11日 9時
