#07 ページ9
＿＿真中Aの存在は、一応知っていた。
真中家に生まれた、オッドアイの後継ぎ。
体が弱く、あまり表舞台に立たない彼女を、
1度だけ、8歳の時に見たことがあった。
正直、思ったことは｢可哀想｣だった。
貼り付けられたような笑みの大人に囲まれて、
一人無表情で佇む姿は小さくて儚くて。
長く伸ばされっぱなしの前髪から覗く左右で違う色の目。
肩から滑り落ちる茶髪。
右手を目を隠すように持っていく仕草も。
あの子は一人だ。
笑えなくて、寂しいひとりぼっちなんだ。
俺の幼い思考はそれしか思いつけなくて。
｢可哀想｣なんて思いながらもそれを眺めていたのを憶えている。
ところが今日あった彼女はどうだ。
綺麗に着飾られて、綺麗に揃えられた髪は緩くパーマを描いている。
オッドアイが隠れるように前髪だけは長いままだった。
そして、笑えないと思っていた彼女はふっと口元を緩めた。
そして、スミレの様な笑みを浮かべたんだ。
貴｢真中Aと申します。
どうぞお見知りおきを。｣
春風が通ったようなそんな柔らかい声が、俺の鼓膜を揺らす。
俺はそれに、酷く嫌悪感を覚えた。
あぁ、俺がこの子をよく覚えていた理由は、｢自分と似てる｣と思ってたからなのか。
愛してもらえず、
家柄のために優秀でいないといけない威圧感に怯える日々を送っていると、
勝手に思っていたからか。
でも、それは違った。
彼女は愛されていた。
大事に、大事に育てられていた。
彼｢(同じだと、思ったのに)｣
そして俺は、そんな気持ちをかき消して笑みを浮かべた。
彼｢一ノ瀬彼方と申します。｣
仲良くしよう。
今日もお母さんに愛されるために、
お母さんの名誉のために、
俺は優秀だと認めてもらうために。
俺の声を聞いて彼女はまた、スミレを咲かせた。
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マフマフラー - 正直言っても良いですか?泣きましたガチ泣きですよ何してくれてんですか!感動しすぎてでもなんかちょっと寂しい気もして･･･感動の海に溺れてしまうんじゃないかと思いましたよ!ww (2017年11月24日 22時) (
レス) id: 99ecad74d7 (このIDを非表示/違反報告)
九尾(プロフ) - あーら@夜行性極めたいさん» ww (2017年9月8日 7時) (レス) id: f37b99806e (このIDを非表示/違反報告)
あーら@夜行性極めたい(プロフ) - 九尾さん» まじですか！まふくんはどの話でも大概泣かせ役に回ってしまうという…← (2017年9月8日 7時) (レス) id: e59c7036a4 (このIDを非表示/違反報告)
九尾(プロフ) - あーら@夜行性極めたいさん» wwwですねwあの最後のまふくんsideのお話。あれ泣きそうになりましたね。はい← (2017年9月7日 23時) (レス) id: f37b99806e (このIDを非表示/違反報告)
あーら@夜行性極めたい(プロフ) - 九尾さん» そうなんですよね…。まふくんにもいい思いさせてあげないと！次にお預けということでお二人には許して貰いましょう。笑 (2017年9月7日 23時) (レス) id: e59c7036a4 (このIDを非表示/違反報告)
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