第8話 ページ10
夢主side
『それなら、俺……私のことも敬語じゃなくてもいい。名前もAでいいよ。あんまり堅苦しいのは得意じゃなくて……』
と言えば、パァと言わんばかりに顔を明るくして、頷いてきた。
伊作「わかり……わかった!今はAさんと呼んでもいいかな……?そうだ、一人称、無理に私にしなくても大丈夫だよ、慣れている方が落ち着くでしょ?」
と、困っている俺を見透かしたように伊作くんは答える。
『そうだね、私より俺の方が落ち着く。でも女の子で俺なんて変だよね……』
少し顔を下げて、恥ずかしそうにすれば、伊作くんは嫌な顔1つせず、そんなことないと言ってくれた。
伊作「Aさんが言いやすい方がいいと思うよ。女の子だから……だなんてそんなの気にすることないよ、何か言ってくる輩がいるなら、僕に言ってくれ。必ず役に立つよ。あ、校庭まで案内するね」
微笑みつつ歩幅を合わせて歩く彼を追いかける。彼の優しさに心を温めながら、歩いていく道中、伊作くんは落とし穴に落ち、罠に引っかかるなどの不運さを披露した。
彼を信じて本当に大丈夫なのか少し心配になってきた。
そして校庭を見ると、色とりどりの制服を纏った男女が揃っており、おそらく教員と思われる人も立っていたので、こんなに人が多いのか……と少し恐れながらも歩くのを戸惑った時、そっと背中をポンと叩かれた。
目線をあげれば、伊作くんが微笑んで何も言わなかったが、確かに瞳では「大丈夫。君ならできるよ」と言ってくれた気がした。
その行動1つに心が軽くなり、足が自然と進むように歩けた。彼はやはり癒し効果があるのだろうか。
そうして学園長に案内されるがまま立つと、伊作くんは軽く手を上げて列に入っていった。
そしてザワザワが段々と小さくなり、学園長が声をあげる。
学園長「注〜〜目〜!!只今から、新しく配属された事務員を紹介する!御嶽Aさんじゃ!」
少し動揺し、どうすればいいか分からなくて固まるも、学園長に手招きされ、台の上に乗る。
人の視線はあまり好きでは無い為、緊張や恐怖で体が震え、声が上手く出なくて焦っていたが、前の列を見れば、伊作くんが口パクで大丈夫。と言ってくれた。
それを見て、少し気が軽くなり、スゥッと息を吸いあげ、ゆっくりと声を出す。
※グラウンド→校庭
アニメなどでグラウンドとは言ったことがありますが、時代的に校庭の方が伝わると思ったので訂正しました。
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スイちゃんのご友人のご友人 - ドゾッ【輸血】三c⌒っ.ω.)っ シューッ (2023年2月2日 1時) (レス) @page8 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
スイちゃんの姉貴的存在のご友人 - 最高(^^ω)輸血パックをください、、、、、 (2023年1月20日 22時) (レス) @page50 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
Spring(プロフ) - 雅さん>>素敵なコメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです!綾部くんと食満先輩かっこいいですよね……!☺️❤これからも沢山出していきたいと考えていますのでどうぞこの作品をよろしくお願いします☺️ (2022年9月1日 21時) (レス) @page40 id: bb9c13b2cc (このIDを非表示/違反報告)
雅 - 私の推しキャラは、綾部喜八郎君と食満留三郎先輩ですね…😅💓他の上級生のキャラも良い☺️✨👍いちばんの中では、綾部喜八郎君ですね…😭(泣き恥) (2022年9月1日 20時) (レス) id: 3a6985dc21 (このIDを非表示/違反報告)
雅 - コメント失礼します。Springさんが作成した忍たまの小説、読んだら面白くて、見入ってしまいました(笑)続きが気になるぐらい😅 (2022年9月1日 20時) (レス) @page17 id: 3a6985dc21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Spring | 作成日時:2022年8月30日 5時