6話 ページ8
森「ところで太宰君。何故君は薬品庫にある筈の高血圧の薬と低血圧の薬を混ぜているのかね?」
あ、それ高血圧と低血圧の薬だったんだ
なんか混ぜてるなぁとは思ったけども
太「え?まとめて飲んだら何か凄いことが起こって楽に死ねるかと思って」
森「死ねません!」
森さんが医薬品をふんだくった
森「全く、どうやって薬品庫の鍵を開けたんだ?」
『あ…………開けたの私です………太宰君に頼まれて……』
私だってこの1年読書だけしてた訳じゃない
姐様もとい尾崎幹部に体術から剣術から武器の扱い、裏社会で生きるノウハウまで、しっかり教えていただいている
鍵を開けるくらいお手の物だ
うん、だからあの、そのありえないものを見る様な目をやめていただけませんか………?
止めなかったのは謝らないけど
太「やだやだ、死にたい!」
太宰君は両手をバタバタさせた
太「詰まんないから死にたい!なるべく楽に簡単に死にたい!森さんなんとかして!」
『薬で死にたいなら……毒か大量摂取……』
太「なら早速試そう!」
森「やめて!?大人しくいい子にしていたら、そのうち薬品の調合法を教えてあげよう」
太「嘘!そう云って僕達をこき使って、1年前にあれだけ大変な思いをさせといて、結局教えてくれないじゃないか!こうなったら裏切って敵組織についてやる!」
森さんは苦笑するしかなかった
森「適当な思いつきを喋るのはやめなさい、いい子だから。裏切ったりしたら楽にタヒねなくなるよ」
森さん苦労人すぎない?今度胃薬プレゼントしようかな……
太「ああ……退屈だなあ。この世界はなんて詰まんないんだろう」
『同感………』
私は1秒も医学書から目を離さずに会話を続けていた
太宰君はスツールから伸びた細い足をぶらぶらさせている
私達は本来なら何の関係もない人間で、私に至ってはこの世界では"異端"の一言に尽きる
私達の関係に1番近い言葉はさしずめ、運命共同体というところだろうか
森さんが小さくため息をついた
森「そもそもだね、太宰君
君は私が先代から首領の座を継承した時、その場にいたたった二人の人間のうちの一人。つまり遺言の証言者の一人なのだよ。そう簡単にタヒなれては困る」
太「証言者なら綾ちゃんだけで十分だろう?」
森「証言者は多ければ多い程いいからね」
小さく、溜息をついた
太「アテが外れたね」
『私はまだしも………最適解、履き違えちゃいましたね』
太宰君と私は、妙に澄んだ声で云った
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作者名:朱音 | 作成日時:2020年10月11日 18時