22話 ページ24
森「先代の暴走か。その事については私としても心を痛めている」
森さんは真意のはっきりしない顔で云った
先代の暴走は私も明瞭に覚えている
記録だけでもかなりえげつないのがひしひしと伝わってくるのだが、実際に見るとなるとあれは恐怖政治どころの話じゃなかった
あのやり方のポートマフィアに触れる期間が数週間だけで良かったと心の底から思う程には狂っていた
夜の暴帝とその死兵
それがかつてのポートマフィアの代名詞だ
私としてもあの地獄を見るのは二度と御免だ
森「だがその先代も病死した。最期は私が看取った。……もし、かの暴帝が復活したなどという噂があるなら、その真相を確かめねば君達も不安じゃあないかな?」
中原君は黙ったまま刃物の様な目付きで此方を睨んでいる
中「だとしても…… お前に顎で使われる理由にはならねえよ、街医者。あんたに関しても良くない噂は出回ってる」
私は呆れたように溜息をついた
だからこの計画はいささか強引すぎるって云ったのに
まぁこれ以上の最適解を見つけることはできなかったので仕方ない感は否めないのだが
中「本当は先代は病死じゃなく、あんたが殺したんじゃないかってな」
先代を殺す以上、こういう疑惑が出るのは不可抗力だ
疑惑どころか事実なのだがそれは置いておく
私達といいポートマフィア内といい敵対組織といい、不確定要素と不穏分子が多すぎる
今後の物語を知っている私から見ると太宰君を殺さなかったのは大正解なのだ
が、今の状況だけ見るとやはり何らかの形で口封じした方が良かったのではと思う辺り私も異常だなと感じる
これを綺麗に纏めるところまでが森さんの手腕の見せどころだろうからそこはしっかり楽しませてもらうつもりではあるが
中原君の目は森さんを真っ直ぐ睨んでいた
中「そうだろ?たかが専属医に首領の座を譲るなんて遺言、信じられる訳ねえからな。違うなら違うって証明してみろよ。あんたが死神の地位を欲した権力欲の権化じゃねえってことを、今ここで証明できんのかよ?できねえだろ?」
森さんの他に真実を知る人は私と太宰君以外に居ない
それに────
森「証明は出来ないね。何故なら」
森さんは肩を竦めて云った
私はそんな森さんを横目で見て、中原君を見て、僅かに微笑んだ
太宰君が止めようと口を開いたが、それよりも早く森さんが云った
元から知ってはいたが、この人は証明などする気など無いようだ
森「何故なら、先代は私が殺したからだ」
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作者名:朱音 | 作成日時:2020年10月11日 18時