19話 ページ21
森「ようこそ、中原中也君。ポートマフィアへ」
マフィアビルの最上階の執務室
その薄暗くて広い部屋で、森さんが云った
私は無言で森さんの隣に立っている
その表情は"無"だった
ただそこにいるだけ、ただそこにあるだけの様だった
そして、この部屋の中央に私達と向き合う様に中原君が楽しそうに立っていた
だが、中原君は頑丈に拘束されている上に異能による亜空間拘束で拘束されている
この状況で笑えるのは相当クレイジーなのかよっぽど余裕があるのか……
中原君とは対照的に、その隣にいる人物の顔に余裕は無く、緊張していた
中原君を拘束している亜空間はその異能力者によるものだった
森「昨日は大活躍だったそうじゃあないか」
森さんは机越しに中原君に微笑んで云った
森「うちの部下達を相手に八面六臂だったとか。流石は《羊》の長だけはある」
中「それも邪魔が入って台無しだ。残念だぜ」
中原君はニヤッと笑っている
訂正、これはクレイジーなんじゃなくて余裕そうなだけだ
どっちにしろ興味ないけど
中「もっとも、俺をこうやって呼び出した理由もそれ絡みだろ?あの時の黒い爆発──黒い炎の《荒覇吐》について」
その時、入り口の扉が開いた
太「どーも、お邪魔します……おや」
そこから太宰君が顔を出した
森「やあ太宰君、待っていたよ」
私は太宰君に向かってひらひらと手を振る
太宰君はニコッと微笑んで私に軽く手を振り返してくれた
やっぱり根は優しいんだよなぁこの子
中「あ!お前あん時の枯れ小僧!」
中原君が飛び上がる
中「手前、あん時はよくも!」
太「はいはい。今日も元気だねえ。僕なんて見ての通りの大怪我なんだけど。その活力は成長期かな?それとも脳みそと身長に行く栄養が元気さの方にいっちゃってるおかげ?」
中「身長の話はするんじゃねえよ!!」
『太宰君……それは聞き捨てならないんだけど?』
太「判った判った。……まあ確かに他人の身体的欠点をあげつらうのは品位に欠けていたね。もう二度と言わないから許してよ、ちびっ子くん。というか綾ちゃんは少食すぎて身長に持っていく栄養がないんじゃない?身体もほっそいし。ちゃんと食べてる?」
中「てんめえ!」
『……』
少食で悪かったですねお前は私の親か
中原君が太宰君を睨みつけた
私は眉間に皺を寄せた後、にっこりと微笑みながら云った
『太宰君拷問室行こうか。安心して。ちゃんと死なない様にするから』
太「ちょ、待って!?綾ちゃん!?」
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作者名:朱音 | 作成日時:2020年10月11日 18時