12話 ページ14
今は聞き込みを終えてマフィア本部に帰る途中なのだが、そういえばそろそろ"彼"が登場する場面では?
広「その……太宰さん、綾さん。あまり先に行き過ぎませんよう。私が護衛しているとはいえ、この辺りは抗争地帯。何が起こるか判りませぬ」
太「抗争?」
勿論、私は昔本で読んだ知識以外でも此方の情報収集は欠かさない
物語がほんの少し変わるだけでどんな影響があるかも判らないし、そもそも既に私というイレギュラーが存在しているのだ
情報も策も多ければ多い程いいだろう
『把握済み…です。現在マフィアと敵対中の組織は三つ……。《高瀬會》、《ゲルハルト・セキュリテヰ・サアビス》、それから、ここら辺で抗争を続けている《羊》……』
広津さんは頷いて云った
広「綾さんの仰る通りです。《羊》は極めて風変わりな、かつてない型の敵でして……正式な組織名はなく、あるのは《羊》という素朴な通り名だけです。今週だけでマフィアの班がふたつ落とされています。特にリーダー格の男が非常に厄介で、噂では銃弾が効かないとか」
私としては銃弾が効かないとわかった時点で《羊》対策に異能力者を投入すべきだったと思うのだが……
如何せん相手の異能力も厄介だし、いざという時のために戦力を保存しておきたかったのかも……
うーん、森さんの考えることは判りそうで判らないな…
まあ、どういう意図があったにしろ、それが森さんの選んだ最適解なら間違いはないに等しいだろうと思って、その事について考えるのをやめた
太「ふうん……道理でさっきから、向こうの方で爆発やら銃撃戦の音が賑やかな訳だ」
『……正直…どうでもいいけど………』
どうせ私の知っている通りに物語は進むのだ
とてつもなく面倒臭いし面白くないことこの上ない
その工程で何か判る可能性があるなら、と我慢しているが面白くないものは面白くないのだ
ちらっと太宰君を見ると、太宰君も面白くなさそうな顔をしていた
ちょうどその時、太宰君の懐の携帯電話から電子音が鳴った
太「森さんだ」
太宰君が携帯電話を耳に当てる
太「もしもし?うん、聞き込みは完了。色々判ったよ。え?どうやって、って……出来るよそのくらい」
本当に太宰君の話術素晴らしかったんだよ、森さん
太「そうだね、結論から云うと
先代はいたよ。蘇ったんだ。地獄の底から──黒い炎に包まれて」
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作者名:朱音 | 作成日時:2020年10月11日 18時