占ツクに宗教が出来上がったらしい(解体)

いかり３ ページ25

その後は、黙々と作業が進められた。

授業後に、女子Bちゃんは私に「ごめんね、煩くして」と謝ってきた。謝られることは何もないが、ただ、かなり驚きはした。

あとは女子Cちゃんが少しだけ私たちのグループを見ていたようで、何があったのかと、心配された。事情は話せなかった。

女子Cちゃんも、てんしさんのことを慕っている人だから。

……そうして、どんよりした学校の一日は過ぎた。


●


夜になっても止まない雨。僅かに聞こえてくる雨音。金曜日だっていうのに、気分は上がらない。

とりあえず、パソコンを起動する。まだ立ち上がらない黒い画面に写る自分の顔は、無気力。

それでもって占ツクに行ってみると、本来なら驚くべき事が起きているというのに、ただただ、 ため息をついて呆れるということしか出来なくなっていた。

てんしさんが、引退宣言を取り消したようだ。

わざわざそのためにまたホムペが作られている。コメント欄は安堵の声……と、それから、それに対する批判で溢れている。

というのも、てんしさんの言い分はこうだ。

『たくさんの人から応援や励ましの声が来たので、引退は取り消します。励ましてくれた皆さんありがとう。これからは逃げずに、批判に立ち向かっていきます。批判を許さないつもりです』。

−−批判に立ち向かうなんて、無謀な。どうして、これだけ散々コメ欄で「批判は荒らしとは違う」などと説明してくれる人がいるのに、どうして、分かってくれないの？

てんしさんには、嫌いな食べ物やスポーツやテレビ番組は無いの？嫌いな食べ物のことを「嫌い」っていうことと、作品への好き嫌いは、同じものなんだよ？どうして、それが理解できないの＿＿。

コメ欄では、閲覧者Aさんが相変わらず動いている。信者も信者だ。

コメ欄には、色々な言葉が届いている。

『てんしさんが引退しなくて良かったです』

『私も、てんしさんの批判に立ち向かいます！負けないでください！』

『てんしさんの作品は好きです。でも、批判を受け入れることも、大切なんですよ……』

『てんしさん、批判の意味を分かってください。そうでないから、今、こんなに騒ぎになっているんですよ！』

『また騒ぎ起こすくらいなら、さっさとやめろよ』

『出たよ、人気作者の引退詐欺。どうせファンや信者にやめないでって言われたいだけだろ』

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