#15 ページ15
ソイツは、何の前触れもなく現れた。
「A、もう一度こちらに戻って来る気は無いか」
「ッ、」
フードから見え隠れする、真っ直ぐ私を射抜くその眼。
「…ッ無い」
その威圧感に押し潰されそうになりながらも、漸く言葉を返す。
「…そうか」
ソイツは、ふっ、と目を一瞬伏せた後。
「…お前にはまだ迷いがある。…本当に、こちらに戻って来る気が無いのなら…」
____...俺を、倒してみろ。
「………」
コイツは、強い。
私が、一度も勝った試しが無い程。
…まぁ、それは昔の話で、今はどうか分からないけど。
「今俺らは鬼兵隊と手を組んでいる。…もしかしたら春雨とも接触するかもな」
「…ッ」
「迷い、なんか…迷いなんか、無いッ!私はこの町が!皆が大好き!お前らの所になんか戻らないッ!!あんな…あんな地獄の様な場所になんて、戻りたく、ない…ッ」
頬に冷たい雫が伝う。
「…本当に、ソイツらが大切なのか」
感情的な私とは裏腹に、冷静なコイツ。
「…大切だよ。少なくとも、私が犠牲になってでも守りたいと思うくらいにね」
「…俺達なら、そんな奴ら直ぐに殺せる」
その言葉に、怒りが込み上げる。
「お前……ッ!!」
「また来る。しっかり考えて置くことだな」
待て、と言葉を発する前に私の前から忽然と姿を消した。
その瞬間私は膝から崩れ落ちた。
同時に込み上げてくる何か。
部屋に残る僅かな殺気。
「ぅ、ぁあ…ッ」
声を押し殺して、泣いた。
…こんなに泣いたのは…いつ振りだろうか。
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麒麟(プロフ) - ネタが多くて面白いです (2016年12月25日 13時) (レス) id: b0311b2dea (このIDを非表示/違反報告)
ことりのおやつ(プロフ) - 亜梨朱さん» はいっ!!(`・ω・´)キリッ (2015年8月30日 23時) (レス) id: 31c11abceb (このIDを非表示/違反報告)
亜梨朱(プロフ) - 頑張ってください!! (2015年8月30日 23時) (レス) id: e7a369f580 (このIDを非表示/違反報告)
ことりのおやつ(プロフ) - 亜梨朱さん» ありがとうございます!!合作も見て下さったんですね!ありがとうございます!!頑張ります!ヾ(*´∀`*)ノ (2015年8月30日 23時) (レス) id: 31c11abceb (このIDを非表示/違反報告)
亜梨朱(プロフ) - めっちゃ面白いです!二つの血を引いた姉も見ました!更新ファイトです(o^∀^o) (2015年8月30日 23時) (レス) id: e7a369f580 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことりのおやつ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Sougo09201/
作成日時:2015年6月27日 21時