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長い廊下を歩きながら、何故自分があんな所にいたのかを考える。
資料庫で調べ物をしていて、それから……それから?あぁダメだそれから先の記憶がない。私は曖昧な記憶も辿るも、それはあまり喜べないものだった。
王子の前で、よりにもよってレオナ様なんて……。私は心の中で大きなため息をつく。


『いや、ちょっと待って』


そこで我に返る。私は会社人だったはず、と。それなのに何故王宮で働いているのだろうか、その理由はただ一つだろう。


『死んだんだ……』


そう先程見た夢で前世を、全てを思い出した。私は電車にひかれて死んでしまい、生き返ったわけでもなく、新しい世界に生まれたのだ。いわゆる、転生というやつなのだろう。
そして、今世の世界では私は夕焼けの草原という場所にある王宮で仕えている。そう、王女でもヒロインでもなんでもない。ただの使用人なのだ。


『まじかぁ……』


よりにもよって魔法のある世界だなんて……。いや、まぁ戦争とか激しい戦いがある世界よりかはいいのだろうけど。だからといって、この世界も魔法を使うわけで、平穏が守られているなんてことは無いのだ。絶対に争いごとには巻き込まれたくはない。

唯一の救いをあげるなら、まだ私が使用人という立場であることだ。仕事場の人間関係なら前世でのやり方を知っているし、上司がまともならこの仕事場(王宮)でも音便にやって行けるだろう。
けれど、やはり魔法があるという小さな頃は目を輝かせたこの世界も今は心の隅に恐怖が居座っている。

日が差し込む長い廊下の屋根を支える柱に寄りかかり私は思い出した前世と新しく生きる今世の世界に思わずため息をついた。

唯一思い出せなかったのは資料庫で何を調べようとしていたことだけだった。

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地獄の番人 - ありがとうございます!! (2023年4月23日 19時) (レス) id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - 続きを愚かな私めにお恵みください!!お願いします!! (2022年11月8日 19時) (レス) id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - あ‘‘あ‘‘あ‘‘ぁぁぁ面白いよ〜とても面白いよ〜。好きです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年9月13日 23時) (レス) @page18 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - めちゃくちゃお話が好きです!更新待ってます! (2021年11月1日 23時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さぶ | 作成日時:2021年10月12日 19時

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