* ページ14
.
「俺よりもソイツが大切なのか」
予想もしていなかった言葉が、小さな声でレオナ様の口から零れた。きっとただの人間ならば、聞き取れなかったであろうその言葉。私は目を見開いた。そして、口元が緩んでしまいそうになるのを、必死に口の中を噛んで耐える。けれど、それもレオナ様には気づかれているのだろう。あぁ、私が猫の獣人でよかった。
鋭く光るエメラルドが、私を見つめる。どうやら、笑われたことに、苛立っているらしい。そんな姿も可愛いな、なんて思いながら、これはレオナ様が悪いんだと心の中で主張する。
『申し訳ありません、つい嬉しくて』
「嬉しい?」
我慢していたつもりだったのだが、口を開いた拍子に思わず口が緩んでしまった。そんな私の言葉と表情が気に食わなかったのかレオナ様から獣の唸り声が聞こえてくる。それに、言い訳をするように言葉を述べる。すると、レオナ様は不思議そうに、首を傾げた。
口が緩んでしまうのも仕方がない。
だって、レオナ様のその言葉は、自分よりも他の使用人を選んだという不満。
つまり、だって、それは__
『嫉妬、して下さったんですね』
そう言うと、レオナ様は鋭くなった目付きから、目を見開いて瞬きを二回ほど。そして私の言葉の意味を理解したのか、褐色の肌が赤く染め上げられる。
「なっ、ちがっ!」
『首まで真っ赤ですよ、レオナ様。』
必死に反論しようとする姿が愛くるしくて、少し意地悪をする。すると、その赤は強みを増した。あぁ、なんとも可愛い。抱きしめて、頭を撫でてあげたい。でも、イエスロリショタノータッチの精神でいる私は、レオナ様に近づくことはしない。
『私はレオナ様が何よりも一番大切です』
『ですから安心してください』私は微笑みながらレオナ様にそう言えば「うるさい」と一言告げられるが、彼の肌の赤みはまだ消えてはいなかった。
『レオナ様、目を合わせてください』
「いい加減にしないと、その舌噛みちぎるぞ」
『レオナ様なら別にいいですよ』
そう言うとライオンの尾がピンとたった。
192人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
地獄の番人 - ありがとうございます!! (2023年4月23日 19時) (レス) id: 7578fd3293 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - 続きを愚かな私めにお恵みください!!お願いします!! (2022年11月8日 19時) (レス) id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
地獄の番人 - あ‘‘あ‘‘あ‘‘ぁぁぁ面白いよ〜とても面白いよ〜。好きです。続きを楽しみに待ってます!! (2022年9月13日 23時) (レス) @page18 id: d126292683 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - めちゃくちゃお話が好きです!更新待ってます! (2021年11月1日 23時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さぶ | 作成日時:2021年10月12日 19時