【あんスタ】吸血鬼の妹は狼に恋をする２ (ページ3)

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53 《私にだって》ページ3

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‘あの子はたくさんの才能を持って生まれた’

‘なんでも出来てしまう’

面と向かって言われたわけじゃないけど。

馬鹿じゃないの？

なんでも出来る生き物なんていない。

私にだって出来ないことぐらいある。

そう、例えば

幼い時から楽器を演奏すること、上手く歌うことができなかった。

「Aは楽器が演奏できないの？僕はピアノが弾けるよ」

『ひ、ひけるもん』

基本的なことを教えてもらえれば完璧にできるはずなのに

私は楽器を演奏することと上手く歌うことが出来なかった。

零兄や凛月兄と一緒に演奏したい。

「A、俺がバイオリン教えてあげるよ」

『Aも…れいみたいになれる？』

「きっとなれるよ」

兄2人や両親に楽器を教えてはもらったがダメだった。

一向に上手くならない。

こんなことは初めてだった。

『どうしてできないんだろう…？』

だから私は歌だけでも…と思い1人で練習した。

『…ぁ、ぁぅ』

歌おうと思うといつも声が震えた。

『れいとりつとえんそうかいがしたいのに…』

どうしてか分からなかった。

それが悔しくて悔しくて仕方がなかった。

歌えるまで練習し続けた。

幼かった私は文字を読むことが出来なかったのだろう。

その頃は聞いた曲をなんとなくで練習していたのを覚えている。

『ぱぱ！まま！れい！りつ！うたえた！ちゃんとうたえたよ！！』

上手く歌えた時は嬉しかった。

頑張ってよかったな、って思えた。

あぁ、でも

一回歌えるようになると私は周りが驚く程に成長してしまった。

プロの声楽家にならないか、と言われたこともあった。

私はこの『才能』が嫌いだ。

このせいで私は周りの人達から変な目で見られた。

吸血鬼だと言うだけでも恐ろしいのに。

けど避けられていたわけではない。

きっと

「あの子とは仲良くしなさい」

と親にでも言われていたのだろう。

周りの子達はみんな私と仲良くなろうと趣味や好きなことを合わせようと必死だった。

中学校に上が…
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