【あんスタ】吸血鬼の妹は狼に恋をする２ (ページ2)

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52 バイオリンページ2

軽音部の部室に無事到着。

『…失礼します』

なんとなく声をかけて中に入る。部室の中はカーテンなど全て閉じており、昼間なのに真っ暗だ。

『零兄…大丈夫かな』

前が見えづらい。
とりあえず電気の場所を探す。スマホのライトで壁を照らすとスイッチが。私は手を伸ばしスイッチを押す。

すると一気に視界が明るくなる。これで零兄の様子を見れる。私は棺桶の蓋を開けて中を覗いた。

漆黒の髪に青白い肌。兄の寝顔を見ると生きてるか不安になる。良い意味でも悪い意味でも浮世離れした顔だ。

恐る恐る顔に手を当て、息をしていることを確認する。…大丈夫だろう。私は棺桶の蓋を閉めた。

棺桶のそばを離れると、私は近くにあったソファーに座った。手に持っているレジ袋に入っているのは焼きそばパンとトマトジュース。

レジ袋から焼きそばパンを取り出し、袋を開ける。ソースの良い香りだ。

ドキドキしながら1口かぶりつく。

美味しい。

『…あ、あれ？もうなくなった』

気づけば袋の中のパンは無くなっていた。もう少し大きいサイズにすれば良かったと後悔。残りのトマトジュースを飲み干し、袋と一緒にゴミ箱へ。

まぁ特にすることも無く暇だったので軽音部の部室をウロウロしていると、私はあるものを見つけた。

『これ…』

手に取ったのは零兄のバイオリンケース。

開けて中を見てみる。久しぶりに見たその楽器は綺麗に掃除されているようだった。そういえば凛月兄と会いに行ったあの日の夜、零兄がこのバイオリンを弾いていた。

あの日、零兄が弾いていたのは幼い時に零兄がバイオリン、凛月兄がピアノ、そして私が歌を歌った思い出の曲だった。

もう曲の題名も歌詞も覚えてない。10年も時が経ってしまったのだ。

零兄、こんな曲よく覚えてたな…としみじみ思う。

なんて昔のことを思い出しながらバイオリンケースを元の場所に戻す。もう無理かもしれないが、また兄達の演奏が聞きたい。

なんとなく周りを見渡すとたくさんの楽譜が落ちていることに気付いた。誰かが作曲したのだろうか。楽譜は全て手書きだった。

『…途中のものもある』

手に取る1枚の楽譜。見るとこの曲は私が思うUNDEADって感じがする。もしかして…これ全部UNDEADの曲なんだろうか。

他のも気になり、１つ１つ楽譜を拾って見ていく。