09 黒王子と少女 ページ9
家のドアを開けると明かりがついていた。
「あ、Aおかえり〜!ご飯できてるよ〜…って日傘は?」
部屋から出てきたのは凛月兄だ。キッチンの方から紫色の煙が見えるけど大丈夫…だよね。
『日傘は忘れた。ご飯は…後ででいい』
そう言って部屋に戻ろうと歩き出した時、酷い頭痛が再び私を襲う。それと同時にバランスを崩し視界が傾いた。
「ちょ…大丈夫?」
『うん…大丈夫。』
早く部屋に戻らなきゃ。休まないと本当にやばい。部屋についた私は制服のままベッドにダイブした。
それにしても大神先輩優しかったな…イケメンだし。
『…!?』
ダメダメ、先輩は零兄の後輩で凛月兄のクラスメイト。先輩は零兄の後輩で凛月兄のクラスメイト…。
そう…大神先輩からしたら私は先輩とクラスメイトの妹。それだけなの。
けどなんで私なんかに声をかけてくれたんだろ。私が零と凛月の妹だってこと知らなかったみたいだし…。
違う学科でも一応同じ学校の生徒だったから?
それなら私じゃなくても…大神先輩は声をかけたんだよね。
それはそれで…少し…
って私、何考えてるんだろ。こんなの…私らしくない。
「あーA?もう頭痛治ったんじゃない?」
『わっ!?凛月兄…!?!?ってあ、本当だ。』
頭痛治ってる…。まぁそれもそうだろう、外を見ると夜になっていた。
「てかさっきからなにブツブツ言ってんのさ。」
え…?凛月のニヤニヤした顔。これはもしや。
『聞いてた…?』
「うん。コーギーがどうかした?」
『なっなんでもない!さっ!ご飯食べよ、凛月兄!』
リビングの方に行くと二人分の料理が並んでいた。うん、見た目はあれだけど凛月兄の料理は美味しい。
「Aってコーギーと知り合いだったんだね〜。さっきも一緒に帰ってたし、なんか意外」
『さっき初めて会ったの。……え?』
なんで大神先輩と一緒にいたこと知ってるの!?ってそっか、リビングの窓から見えたのか。
「コーギー、なんか心配そうにしてたけどなにがあったの。」
『…』
「お兄ちゃんに話してくれないの?」
真っ赤な目で見つめられる。凛月兄は怒ってない、心配してくれているだけ。
『はぁ…。私が体育祭で走るって言ったら零兄に怒られたの。それで…』
「は?兄者に会ったの?」
『違う、会ったんじゃなくて私から会いに行ったの。』
「…ふーん。で、なんであの人に怒られたの?去年のこと?」
『そう。』
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冬乃(プロフ) - よっ! (2018年8月30日 18時) (レス) id: db15aabe3a (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 面白い作品で好きです!あと、12話で英智さんのあだ名がエッちゃんじゃなくてセッちゃんになってますよ? (2018年8月19日 21時) (レス) id: 23ae3ada38 (このIDを非表示/違反報告)
リーリエ - とっても面白いです!続き楽しみにしてます♪ (2018年8月15日 17時) (レス) id: e54f7d496b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんごあめ | 作成日時:2018年8月2日 0時