逃げても逃げても追う彼ら【あんスタ】 (ページ10)

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9.ふざけたお願いページ10

天「まぁ、授業もあるし手短に話そうか」

天祥院はそう切り出して。そして次の言葉で驚くべきことを言った。

天「君にプロデュースをして欲しいんだ」

『はぁ!?』

私にプロデュースをしろと、今この男はそう言ったのか?

『何でそんなふざけたことを……』

天「ふざけてなんかいないさ。元々、今のプロデュース科が出来るまで、君も作曲提供しながらプロデュースもどきをしてたじゃないか」

『それとこれとは別でしょう!だいたい、貴方をプロデュースしろと、そういうの!?』

私の曲を“彼ら”を制裁するために使った天祥院に協力なんて、誰がするものか。

そんな思いで見ていれば、彼はゆっくりと頭をふる。

天「いいや、僕らのじゃない。まぁ最終的にはしてもらうかも知れないけど。君にはあんずちゃんの補助をしてほしいんだ」

『あんずちゃん…?』

天「そう、プロデュース科の2年生。この間のDDDでfineに勝った、TRICKSTARの専属プロデュースをした子だよ」

その子のことは、知っている。

なずなと会う時、彼はいつもプロデュース科の子のことを話しているから。

それに、腐敗しきったこの学園を変えてくれた子でもあるから。

ｰｰｰなずなに、笑顔をもたらしてくれた子。

おそらく昨日会った瀬名君や羽風君、それに守沢君なんかがいい方向に変わった理由もあの子にあるんだろう。

でも。

『何で私がその子の補助をしなきゃいけないの。私はもう、アイドルに関わりたくない』

それが、私の本心なのだ。

あの時のように中途半端に関わって、そうして傷つけ傷つけられるのももう嫌なんだ。

ｰｰｰ信じていたんですがねぇ。

ｰｰｰ俺はお前の事、仲間だと思ってたけど、違ったんだな。

ｰｰｰどうして、ボクらは何もしてないの二…

ｰｰｰ俺はアンタのこと、許さないから

もう二度と、あんな思いしたくないから。