逃げても逃げても追う彼ら【あんスタ】 (ページ31)

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30.どうして笑うの。ページ31

嘘。え、ちょっと待ってよ。私に心の準備をさせてよ。

いきなり現れた日々樹渉にそう思う自分がいる。

ていうか、こんな登場の仕方ってないでしょ。まじで。

日「おやおやぁ?驚いてますねぇ!」

『そりゃ驚きもするでしょう!?……あ』

やばい。ついつい突っ込んでしまったじゃないか。

とっさに口を噤むがもう遅い。

そんな私を見て、日々樹渉は笑うのだ。

日「でも、本当に1年ぶりですね、セリエ」

『……』

日「元気にしてましたか?」

『…何で』

日「はい?」

『何で笑ってるの!?どうして私に笑うのよ!?』

口をついて出た言葉はそれで。
あんずちゃんが隣で心配そうな表情をしている事も知っている。

けれど、既に出た言葉は変えられない。

どうして。私は貴方達をｰｰｰ渉を傷つけたのに。

どうして笑っていられるの……

仮面の下で歪む顔。

それは皮肉にも、目の前で困ったように笑う彼から貰ったもので隠されていて。

日「セリエ……私はあなたを恨んでなんかいませんよ」

目の前の彼は、私を見つめてやっぱり笑うのだった。