28.赤目の兎と心地よい風 ページ29
あ「やっぱり、私から断っておきますね」
私の顔色が変わったのを見てか、あんずちゃんはそう言ってくれた。
『待ってあんずちゃん、』
何も彼が私を呼ぶのはこれが初めてではない。
彼から逃げる私を日々樹渉は追ってくる。
ビックリするくらいのあの手この手を使って。
逃げても逃げても、日々樹渉は追ってくる。
ならば、今度は私から行こうじゃないか。
『いいよ、明日fineの所にいく』
△▽
な「はぁ!?fineのとこに行くってどういう事なんらよ!?」
Ra*bitsの練習後、衣装部屋へ向かいながら、なずなと一緒にアイドル科校舎を歩いていて。
さっきのことを言えば彼はまた、たいそうお怒りになった。
『んーだって私はあんずちゃんの補助を任されてるからなぁ』
な「だからって!ただでさえfineは曲者揃いなのに、そこに行くって…Aちん何考えてんらよ!!」
そんな怒んなくてもいいじゃないか。というか、Aって名前で呼ぶなこら。
そう思っても口には出さない、だって後が怖いし面倒だから。
『…逃げるのはやめたいんだ』
ポツリと、口をついて出た言葉はきっと私の本心で。
な「〜ッわかった、でも本当に無理はするなよ!何かあったらに〜ちゃんを頼れよなっ!」
私が折れないと分かったのか、なずなはそう言った。
『ふふ、なずながに〜ちゃんか。身長は私が高いのにね』
な「なっ!それはAちんが今ヒール履いてるかりゃらろ!?」
なんて、身長の事になるとムキになる。
あぁ、やっぱりなずなと一緒にいるのは心地いいなぁ。
ふわりと私の頬を、涼しい風がなでていったーーー
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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年4月11日 19時