逃げても逃げても追う彼ら【あんスタ】 (ページ28)

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27.私の仮面と貴方の仮面ページ28

あ「そうだ、セリエさん」

衣装を直しながらのこと。あんずちゃんは思い出したかのように声をあげた。

『ん?どったの??』

あ「次のプロデュースの事なんですけど……明日はfineなんですよね」

あぁ、彼女の言いたいことがわかった。

あんずちゃんの補助を初めてすでに2週間。

けれども私は今日のRa*bitsを抜かせば、TRICKSTARの手伝いしかしていない。

それは、私が手伝うユニットが限られているから。

“彼ら”がいないユニットを選んでいるから。

そんな事、2週間も一緒に過ごせばあんずちゃんも理解してきたようで、あまり声をかけなくなった。

だけど、今あえてfineの名前を出すということはｰｰｰ

『天祥院に何か言われたの?』

それしか無いだろう。大方、私を連れてくるようにあんずちゃんに言ったのだろう。

そう思って彼女に問いかければ、彼女はゆるゆると頭をふった。

あ「いえ、違うんです。天祥院先輩じゃなくて……日々樹先輩がセリエさんを連れてきてくれと……」

『え…』

私が予想していた答えと違う。

それどころか、“あの”日々樹渉が私を呼んでいる……?

ｰｰｰ貴方はいつも私に驚きを与えますね!……それがいい意味でも悪い意味でも与えるとは思いませんでしたが。

最後に見た日々樹渉は、仮面の下で悲しそうな笑顔を浮かべていた。

私は自然と、自分の顔の半分を覆っている仮面に触れていた。

ｰｰｰこれで貴方も私とお揃いですね!あぁ、貴方を独り占めしたみたいで優越感を感じますね!

そう言って彼がくれた仮面に。