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20.壊れた王様 ページ21

月「何でセリエがここにいるんだ?いるはずないのに……。俺は宇宙人にアブダクションされたのか!?」


私を見た彼は、よく訳の分からないことを言っていて。



私はと言うとーーー



月「え、ちょっ!!」



『あ……』



涙を流していた。



それは嬉しさなのか、それとも後ろめたさからくるものなのか、分からない。


けど。



『レオ君……』


また会える何て思いもしなかった。


会う資格なんて無かったのに。


会えてよかったと、そう思ってしまう自分がいる。


気づけば瀬名君は既に私の腕を離していて。


私はレオ君に歩み寄った。


月「セリエ、だよな?本物の」


『そう、だよ……レオ君…』


月「ッ!セリエ!!!」


ガバッと、そんな音が聞こえるくらい、勢いよくレオ君は私に抱きついた。


月「セリエ、会いたかったぞ!」


『うん、私も会いたかったよ…………ごめんね、レオ君』


あの時、救えなくてごめんなさい……


あの時、レオ君の大切なKnightsを傷つけて、そしてレオ君を壊してしまって、ごめんなさい…。



そんな思いで、私は彼を抱きしめた。



月「もう、いいよ。俺はセリエを恨んでなんかいないから」


『でもっ!』


月「またこうやって、セリエに会えた。俺はそれでもう十分だ!」


そう言って笑う彼は、あの頃と何ら変わりはなくて。


一緒に作曲をしていた頃と同じ笑顔で笑っていた。



『ごめ、なさ……』


月「謝るなよなぁ。俺とセリエのーーーAの仲だろ?」


そうおちゃらけたように言う彼は、やっぱり私の知る彼で。


『……ありがとう』



私は涙目のままそう呟いた。

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作者名:松並ゆの | 作成日時:2018年4月11日 19時

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