271.人気のない校舎のお話 ページ39
それから、天祥院が言った通り、ガーデンテラスで打ち上げが始まった。
各々同じユニットの後輩だったり、部活の後輩だったりと1、2年生も誘いに誘って、打ち上げも大盛り上がり。
結局アイドル科総出となったのだ。
そんな中、姿の見えない者がチラホラといて。
セリエこと、宮原Aもその1人だった。
彼女は人がいなくなったアイドル科校舎をひたすら歩いていた。
目指す場所はただ一つ。
魔王の待つであろう、軽音部室だ。
△▽△
『着いた……』
軽音部室の扉の前。きっと彼はここにいる。
小さく一つ深呼吸をして。
そうして私は扉に手をかけた。
『………いた』
お目当ての人物は、すぐに見つかった。
窓枠に手をついて、夕焼けになりつつある空を眺めていた。
『零さん』
零「ようやく来たの、Aよ」
そう言って、零さんはようやくこちらを向いてくれた。
『零さん、私の曲はどうでしたか?約束通りちゃんと私の想いを……本気を伝えられましたか…?』
どうしても彼を目の前にすると言葉が震えてしまう。けど、決着をつけなきゃいけないから。だから。
零さんは1つ瞬きをして、ゆるりと口を開く。
零｢ちゃんとお主の気持ちは伝わったぞい。それに、我ら五奇人の為に作ったあの曲もとても素晴らしかった。久々に本気を出せて、我輩も楽しかったぞい。
……ありがとな、A｣
『……ｯ!!』
ようやく、彼に認めてもらう事ができたんだ。
そう思ったら嬉しくて、ついつい私は零さんに抱き着いたのだ。
『よかった……私の気持ち伝わったんだね、“零お兄ちゃん”』
零お兄ちゃん、それは1年前の私が彼を呼ぶ時の呼称。
当時、仲良くなったばかりの五奇人の末っ子の彼の呼び方を真似して、私も1つ年上の零さんの事をそう呼んでいたのだ。
けれど、天祥院の革命で間接的とはいえ、彼らを傷つけた私には、もうその呼び方はもうしてはダメ、そう思って今まで他人行儀な零さん呼びをしていたのだが。
……また、呼ぶ事ができた
零｢ふっ、久々に聞いたな、その呼び方。それに相変わらず泣き虫だなぁAは｣
ポンポンと子供をあやす様に、私の頭を優しくなでてくれる。
……やっと、戻れたんだ。
零さんのお腹に顔をうずめて涙を流していた私は、後ろの扉が開いた事に気づくのが遅かったんだ。
｢……何、してんの?｣
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日和 - 最後まで読みました！もうすっごい素敵でした！番外編も読みたいです！待ってます！ (2020年2月4日 9時) (
レス) id: 972516cad5 (このIDを非表示/違反報告)
松並ゆの(プロフ) - 日和さん» ありがとです！物語ももうクライマックス、最後までお楽しみ下さい♪ (2020年1月29日 18時) (レス) id: c69e9f8b84 (このIDを非表示/違反報告)
日和 - すごく面白いです！続きがとても楽しみです！ (2020年1月29日 14時) (レス) id: 972516cad5 (このIDを非表示/違反報告)
松並ゆの(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとです!時間はかかりますが、ちゃんと更新しますのでもう少しお待ちください…♪ (2019年11月6日 22時) (レス) id: 5fc703e917 (このIDを非表示/違反報告)
白雪(プロフ) - 面白いです!更新待ってます! (2019年11月5日 0時) (レス) id: 567a821487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：松並ゆの | 作成日時：2019年3月8日 23時
