プリーズ・プリーズミー__wtnb. ページ39
( watanabe side. )
…非常に不愉快だ。
ソファの上で携帯を覗き込んで笑う彼女は可愛い。
くるくると表情を変えるところも可愛い、申し分ない。
でも、その隣にいる山本さんだけが気に食わない。
決して山本さんが嫌いなわけではない。
山本さんは、俺の大親友だと自分で豪語するほど仲がいいと思っているし、むしろ好きな方だ。
でも、本来俺がいる場所であるAの隣にいる事実だけが気に食わないのだ。
『 祥彰さん、これ私の携帯にリンク送ってください! 』
「 いいよ〜、送っとくね 」
今更、Aが山本さんの事を『 祥彰さん 』と呼んでいる事は気にしていない。
山本さんは、男女とか関係なくフレンドリーに接するし、Aだってそうだ。
だけど、俺の前でその距離で話すのは違うんじゃないか?
「 ……A。 」
そう、名前を呼んでもAは山本さんとの会話に夢中。
「 ……ねぇ、A。 」
後ろから強く肩を引くと、Aは肩を震わせてゆっくりとこちらを向く。
視線がぶつかりあった時、Aの口がピクっと動いた気がした。
『 …航平 』
「 …A、Aの彼氏は誰? 」
『 ……航平、だよ 』
「 …だよね。 」
そんな会話を交わしていると、山本さんはばつが悪そうに立ち上がり、静かに部屋を出ていった。
・
『 …あの、航平を怒らせたかったんじゃなくて… 』
Aは、俺の服の裾を掴んで訴えた。
『 航平が、私の事本当に好きなのか確かめたくて…祥彰さんにも協力仰いでたの、ごめんね… 』
俺がAの事をどれだけ好きなのか、どれだけ大切なのか、伝わっていなかったみたいだ。
そんな自分が嫌になった。
頭を雑に搔いて、Aを強く抱きしめる。
Aは応えるようにきゅっと背中に手を回す。
「 …俺カッコ悪…… 」
『 全然カッコ悪くないよ、いつも格好いいよ。 』
少し俺との間に距離を取って、Aは頬に手を添える。
そして、唇が軽く触れ合った。
いつもはAからしてくれないキスも、『 今日は特別 』らしい。
またそうやって俺を喜ばせる。
『 好きな人には甘いんだよ 』って言うけど
俺が喜ばせてもらってばっかりじゃなぁ……。
まぁそういう日も悪くないか。
プリーズ・プリーズ・ミー : 俺を喜ばせてくれよ
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アルコン型(プロフ) - こんばんは!いつも楽しく読ませて頂いています(*^-^*)最高の作品ばかりで何度も読み返しています。厚かましいとは思いますが、リクエストしても大丈夫でしょうか?(´・ω・`) (2019年12月29日 22時) (レス) id: 7d2d99b638 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - Rika1722さん» うわー、嬉しいです( ; ; )素敵な夢が見られるような小説が書けていたら幸いです!! (2019年9月12日 15時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
Rika1722(プロフ) - 最高です…。寝る前に読ませていただいています!いい夢が見れる気がして笑 (2019年9月12日 0時) (レス) id: a257df45f5 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - まっちゃさん» 嬉しいです(>_<)ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 23時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 短編集も最高ですっ!これからも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 21時) (レス) id: 6d7b57be72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツラ | 作成日時:2019年9月5日 22時