離れてたって__kwkm. ページ26
『 拓朗、会いたい 』
さっきから、そんな文字を打ち込んでは消す、の繰り返し。
拓朗は、2ヶ月前から仕事で東京に行っちゃってて、『 私も行く 』って言ったけど、「 あかん 」の一点張りで、結局私こーんな広い部屋に一人。
「 毎日電話する 」って約束してくれたのに、忙しいからごめん、って最近は断られっぱなし。
拓朗の影響で見るようになったクイズ番組だって、隣で知識を爆発させる拓朗がいなきゃつまらないし、一緒に寝てたベッドだって一人で使うには大きすぎる。
別れた方が楽になるかも、なんて事は何度も思ったけど、カメラロールの写真を見る度に思い出が蘇っては、そんな事言えなくて。
遠距離恋愛なんて、愛があれば大丈夫!
なんてその時は軽く思ってたけど、今は重いものがのしかかってる気分。
『 …早く帰ってきてよ…… 』
ソファの上で膝を抱えて一人泣いていると、ふわっと暖かいものに包まれた。
「 …帰ってきたけど 」
『 ……え、何で?!』
そこに立っていたのは、紛れもなく
私が会いたかった、拓朗だった。
「 ふは、びっくりしすぎやろ。
…まぁ……仕事が一段落付いたし…クリスマス前やし…? 」
『 帰ってくるなんて話なかったじゃん 』
「 言ってないからね 」
『 ちゃんと言ってよ、ご飯も何も準備してないし 』
「 ええよ、今日は外食べに行こ 」
帰ったばかりで、まだひんやりした拓朗の頬に触れると「 何? 」ってニヤニヤしてる。
『 また、帰っちゃうの? 』
「 うん、また2日後には 」
『 離れてても、私の事好きでいてくれる? 』
「 …やっぱり不安? 」
『 ……うん。 』
やっぱり、不安以外の何者でもなかった。
拓朗を信じてない訳じゃなくて、東京ってやっぱりいろんな綺麗な人もいるし、ね。
「 んー……じゃあ。 」
拓朗は少し頭を悩ませたあと、持っていたカバンのポケットから、小さな箱を取り出した。
「 もうちょい、後で渡そうと思ってたんやけど、先に予約しとく。 」
そう言って私の手を取って、小さな石のついた指輪を左手の薬指にはめた。
「 次帰ってきた時に、ちゃんとプロポーズさせて。 」
恥ずかしそうにはにかむ拓朗の胸に飛び込むと、「 苦しいって 」と背中をポンポン叩く。
「 これでさ、離れてても大丈夫やろ? 」
『 …うん。 』
「 Aはずっと俺のもんやし、俺もずっとAのもんやで。 」
あざとい注意報、発令中__fkr.→←一石二鳥の二乗__kwmr.
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アルコン型(プロフ) - こんばんは!いつも楽しく読ませて頂いています(*^-^*)最高の作品ばかりで何度も読み返しています。厚かましいとは思いますが、リクエストしても大丈夫でしょうか?(´・ω・`) (2019年12月29日 22時) (レス) id: 7d2d99b638 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - Rika1722さん» うわー、嬉しいです( ; ; )素敵な夢が見られるような小説が書けていたら幸いです!! (2019年9月12日 15時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
Rika1722(プロフ) - 最高です…。寝る前に読ませていただいています!いい夢が見れる気がして笑 (2019年9月12日 0時) (レス) id: a257df45f5 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - まっちゃさん» 嬉しいです(>_<)ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 23時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 短編集も最高ですっ!これからも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 21時) (レス) id: 6d7b57be72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツラ | 作成日時:2019年9月5日 22時