電話越しに__sgi. ページ17
『 うわ!駿貴帰ってきちゃう! 』
バタバタとせわしなくリビングを走り回る。
時計を見ると、もう7時前を指していた。
いつも駿貴が帰ってくるのは大体7時過ぎで、毎日欠かさず「 今から帰るね 」って連絡をくれる。
LINEの日もあれば、電話の日もある。
今日は、LINEだったみたい。
『 ご飯作って待ってるね 』と、そう返信をした時、携帯を持った左手の薬指に指輪がある事は、未だに頬が綻んでしまう。
私が、駿貴から「 須貝 」という名字を貰って、「 須貝 A 」になったのは、本当に最近。
指輪をそっと撫でて、『 幸せだなぁ 』と思った時、机の上の私の携帯が揺れていた。
『 ……公衆電話? 』
誰からだろう、公衆電話?
大事な用事かもしれないと思い、右にスライドさせて電話を受けた。
『 …はい、もしもし 』
……こういう時って、『 須貝です 』でいいのかな。
……私の知り合いなら、私の前の名字を言わないと分からないかもしれない。
…………でも。
『 …………須貝です 』
私がそう言っても、電話の相手は何も答えない。
『 …あの、もしもーし? 』
「 …もしもし、ナイスガイです。 」
『 え?駿貴? 』
「 うん。 」
『 もう!びっくりしたじゃん!なんで公衆電話からかけてるの?携帯なくした? 』
「 ううん、違う。 」
『 じゃあ何? 』
「 俺の携帯からかけたら、相手が俺だってわかっちゃうじゃん? 」
『 …だめなの? 』
「 Aの口から、『 須貝です 』って言葉聞きたかったの(笑) 」
『 なにそれ!恥ずかしいからやめてよ! 』
「 まぁいいじゃん、今日のご飯なに? 」
『 今日はね、麻婆豆腐。 』
「 おっ、マジで?!すぐ帰るわ! 」
そう言い残して、プチンと電話は切れてしまった。
『 本当に、いつまで経っても子供だなぁ…。 』
そんな事を呟きながら、キッチンに立った。
そんな、キラキラ笑顔の彼が帰ってくる、ほんの15分前のお話。
・
タラレバもほどほどに__kwmr.→←ほんの少しの後悔と__izw.
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アルコン型(プロフ) - こんばんは!いつも楽しく読ませて頂いています(*^-^*)最高の作品ばかりで何度も読み返しています。厚かましいとは思いますが、リクエストしても大丈夫でしょうか?(´・ω・`) (2019年12月29日 22時) (レス) id: 7d2d99b638 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - Rika1722さん» うわー、嬉しいです( ; ; )素敵な夢が見られるような小説が書けていたら幸いです!! (2019年9月12日 15時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
Rika1722(プロフ) - 最高です…。寝る前に読ませていただいています!いい夢が見れる気がして笑 (2019年9月12日 0時) (レス) id: a257df45f5 (このIDを非表示/違反報告)
サツラ(プロフ) - まっちゃさん» 嬉しいです(>_<)ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2019年9月8日 23時) (レス) id: e4eef8aaeb (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ(プロフ) - 短編集も最高ですっ!これからも楽しみにしてます(^^) (2019年9月6日 21時) (レス) id: 6d7b57be72 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サツラ | 作成日時:2019年9月5日 22時