二文字 ページ39
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紗倉ちゃんが、俺の目の前で死んだ。
みんなどうしたらいいのかわからない、という顔をしている。
なんとなく、深雪の方を見てみた。
深雪は、笑っていた。
姉が死んで悲しくないのか、そう思ったけど、口には出さなかった。
深雪の事だから、私が笑ってないと、とでも思ったんだろうし。
紗倉ちゃんの顔にかかった白い布。
現実を見せつけられているようで、辛かった。
心の隅には、まだ紗倉ちゃんは生きていると思っている自分がいた。
そういえば、紗倉ちゃんの発言…
深雪はマネ業出来てたかっていうの、なんだったんだろう。
あ、もしかして自分の名前、妹の名前と間違ったのかな?
って、それはないか。
じゃあ、紗倉ちゃんは最期までお姉さんとして妹を気にしてたんだね。
自分の事じゃないけど、とても心が温かくなつた。
あーあ、俺、そういう所が好きだったんだよ。
紗倉ちゃんの、Aちゃんの優しい所が。
結局、告白は出来なかった。
好きっていう二文字が口から出せないなんて、俺は臆病だなあ…
ねえねえAちゃん。
俺の言葉がまだ届くなら、聞いてほしい。
「好き、だった…!!」
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作者名:浅葱。 | 作成日時:2017年7月21日 18時