スイーツ ページ23
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じわりじわり、
濡れた紙にインクを垂らしていくように、私の病気は進行していた。
「それでね、そこのスイーツがねって聞いてる?お姉ちゃん?」
正直、スイーツの話なんかどうだっていい。
でも私は“お姉ちゃん”なんだから、妹の事は大切にしなくちゃいけない。
ああ、姉って心底大変。
もう嫌になっちゃう。
『ごめんごめん、それでなんて?』
やっぱり聞いてなかった!
ってぷりぷり怒る深雪。
表情が豊かな事で。
「この前お姉ちゃんが食べたいって言ってたケーキ屋さんに及川と行ってきたの!お姉ちゃんのために買ってきたよ〜って話。」
そういえばそんな事も言った気がする。
それにしても及川と行くなんて…デキてるのかな?
…なんか自分で言って虚しくなってきた。
悔しいんだ、深雪に負けてる気がして。
気がしてじゃないか、負けてるんだ。
全てにおいて。
「ショートケーキと、お姉ちゃんの好きなガトーショコラと、チーズスフレがあるから好きなの食べてね!」
あ、でも1つだけ深雪に勝てる所がある。
『ありがとう、深雪。甘い物が食べたかったんだ〜』
私、あなたよりも性格はずっといいって自信があるよ。
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作者名:浅葱。 | 作成日時:2017年7月21日 18時