その恋は甘いハート (ページ2)

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『今、なんて言った……？』

目の前にいる男が何を言ったのか私は理解できなかった。

「だから俺と別れてほしいんだけど」

デートを終えた帰り道。
家の前まで送ってくれた彼氏であるこの男は、気まずそうに目を逸らしながら私に別れを告げた。

「あー、その……好きな子が出来たんだよ。お前はさ、俺が守らなくても大丈夫だろ？でもあの子は俺が守ってやらないと駄目なんだ」

彼に告白された時、私は彼にこう言った。

『恋愛で駄目になってる人を知ってるから、私は恋愛なんてしたくない』

その時彼は、だったら恋は良いものだって俺が教えてやるよ、と言っていたのにこれだ。

ああ……。
信じた私が馬鹿だった。
あの子はか弱くて俺がいないと駄目なんだよ、とデレデレと顔を緩ませるこいつに心底嫌気がさす。

こんな男に少しでも心を許した自分にも、どうしようもなく嫌気がさした。

『……もういい。あんたなんてこっちから願い下げ。もう二度と私に関わらないで』

「あっ、お、おいっ……」

振られてなんてやらない。
私があいつを振るの。
後ろで何か言っているけど絶対に振り返らない。

泣いたりするもんか。

あいつの前で情けなく泣いてたまるか。

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