鈍感ラバーズ・2 ページ7
*
「部活だってお互いあるし、正直者英太くんの方が私の何倍も忙しいし、大変だし。……私は今のままでもいいと思ってるんだけど」
「そう言ってると自然消滅コースかな??」
「だからやめろって」
「縁起でもない……」
私達が顔をしかめて睨むと、天童は打って変わって飄々とした態度で言った。
「まー、二人でそう言えてるうちは問題ないんじゃない?」
「は……?」
「俺からのお節介その42。イエーイ、成功だネー」
「「…………」」
またやられた。
天童はこうして、ことあるごとにお節介を焼いてくる。そんなに私達の仲を取り持ってくれて、自分に利益もなさそうなのに。
ふと英太くんと目が合った。照れ臭くて少し笑うと、英太くんも同じように笑い返してくれる。……天童はそれを黙ってニヤニヤしながら見ている。いなくてもいても気まずいんだよ。
それから、気を取り直したように、思い出したように英太くんが口を開いた。
「ああそうだ、Aって次の日曜暇か?」
「ん? 何で?」
「珍しくオフなんだよ。だからどっか出掛けないか?」
英太くんのそんな一言に、たった一言に、思わず口元が緩んだのが自分でもわかった。
「暇暇! すっごい暇! いや実は弓道部の練習はあるけど暇だから!!」
「……え、それ予定じゃ」
「いーじゃん英太くん、俺らオフなんてそうそうないんだし」
「……そっか、そうだな」
子どもみたいにはしゃいでしまいそうで、ふーと息を吐いて落ち着かせた。
で、と座り直して英太くんに向き直る。
「どうする? どこ行く?」
「ああ、Aが行きたいところならどこでも――」
「――ちょっと待って」
「え?」
急に声を遮られてぽかんとする英太くんに、私はつとめて落ち着いて、そして真剣に言った。天童は何故か息を止めている。
英太くん、と言い聞かせるように私は続ける。
「私はどこでもいいよ、英太くんと行けるなら。でもこれだけは言わせて、お願い制服じゃなきゃ絶対に嫌」
「お、おう……?」
「間違っても私服で来ないで。いや私服でもいいことはいいんだけどその場合私は男子寮に意地でも潜入して英太くんが着る服選ぶから」
「いやA、言ってる意味が」
「何だ、英太くんアレ無自覚なの?」
思わず私は固まった。そんなことはつゆ知らず、天童はケラケラ笑いながらまったく躊躇せずに言ってのける。
「英太くん私服ダサいもんね!」
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - ★マチャキ★さん» 好きだったらだいたい書いてますよー。 (2016年7月20日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
★マチャキ★ - 照ちゃんあった!! (2016年7月19日 20時) (レス) id: a549331ee4 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» そしてお察しの通り、及川さん大好きです。色々書きたくなるので、最初と最後に入れてるだけなんですけどね。前作も前々作も読んでくださってありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» コメントありがとうございます!とんでもない、長文コメント最高に嬉しいです…!!私も実は「この続き書きたいなぁ」なんて毎回思ってまして、うーん……したい、ですねぇ……(笑) (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
彗華@京都へ行きたい (元:凰華)(プロフ) - 前作、前々作を見て思ったのですが【及川さんで始まり及川さんで終わる】というループみたいなものが出来ているように感じました。作者様は及川さんが好きなのでしょうか?更新頑張ってください。応援しています!(長くなってしまいすみません) (2016年4月17日 22時) (レス) id: 4e64820097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年4月14日 18時