銀色の指輪・2 ページ29
*
「これ、」
「見つかったのか?」
息を呑んだ私に、尋ねてきた一ちゃんに向かって思わず笑う。私はそれを持って、テーブルについた。
――無意識に、一ちゃんのとなりに。
「……缶?」
そう。私が出したのは、掌サイズの、小さなピンクの缶だった。
蓋には小花模様、横にも柄がプリントされていて、なかなか可愛らしい。
「何入ってるのかはわかんないけど。でも、なんか見覚えあるんだ、これ」
「開けたらどうだ?」
うん、と頷いて缶の蓋を開けると。
そこには、沢山のビーズが入っていた。
「うわ……懐かしい!」
「何でそんなに沢山」
「集めてたんだよ! 確か……幼稚園の時から、小学校の低学年ぐらいまでかな? あー、捨てた覚えないのにと思ってたら、こんなとこにあったんだ!」
ちょっと嬉しくて、思わず興奮する。
キラキラのビーズは確か、私がまだ小さかった頃、夢中になって集めたものだった。
可愛いから、ただそれだけで。集めたビーズは大事に、この缶にしまっていたんだ。
「どうしよっかな……広げていい?」
「教科書の上にか?」
「だよねえ。机でやるね!」
「……あ、」
缶に蓋をして、立ち上がりかけた瞬間。
二の腕に微かな感触があって、立つのをやめる。振り返れば、……一ちゃんが私の腕を掴んでいた。
「……っ、一、ちゃん?」
「あ、いや……何でもねえ」
ぱっと離された腕を見て、少し迷ったけど、私は結局立ち上がって机に向かった。
どきどきする。
さっき、何で一ちゃんが私の腕を掴んだのか。――知りたいような、知りたくないような。
思わず浮かんできた考えを振り払うように、私は思い切って缶をひっくり返した。机の上に広がるビーズ。
こんな形のがあったなあ、と眺めているうちに、ふと気がついた。
ビーズに埋れて、鈍く光る銀色の存在に。
取ってみれば、それはビーズではなかった。
銀色の指輪。
針金でできた円。
ふと、それを指にはめてみようと思った。意識と円の大きさが、自然に左手の指に至る。
綺麗にはまったその指輪を満足して眺めていると、声がかかった。
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スマトラ島のラフレシア(プロフ) - ★マチャキ★さん» 好きだったらだいたい書いてますよー。 (2016年7月20日 19時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
★マチャキ★ - 照ちゃんあった!! (2016年7月19日 20時) (レス) id: a549331ee4 (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» そしてお察しの通り、及川さん大好きです。色々書きたくなるので、最初と最後に入れてるだけなんですけどね。前作も前々作も読んでくださってありがとうございます!更新頑張ります!! (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
スマトラ島のラフレシア(プロフ) - 彗華@京都へ行きたい (元:凰華)さん» コメントありがとうございます!とんでもない、長文コメント最高に嬉しいです…!!私も実は「この続き書きたいなぁ」なんて毎回思ってまして、うーん……したい、ですねぇ……(笑) (2016年4月18日 18時) (レス) id: db820b405d (このIDを非表示/違反報告)
彗華@京都へ行きたい (元:凰華)(プロフ) - 前作、前々作を見て思ったのですが【及川さんで始まり及川さんで終わる】というループみたいなものが出来ているように感じました。作者様は及川さんが好きなのでしょうか?更新頑張ってください。応援しています!(長くなってしまいすみません) (2016年4月17日 22時) (レス) id: 4e64820097 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スマトラ島のラフレシア | 作成日時:2016年4月14日 18時